東京・渋谷区に、重要文化財である旧朝倉家住宅があります。このお屋敷は、元・東京府議会議長や渋谷区議会長を務めた朝倉虎治郎氏が大正8年に建築したもので、現在は渋谷区が管理しています。今回は、関東大震災でも壊れなかったこのお屋敷を訪ねてみました。

旧朝倉家住宅があるのは、東京・渋谷区のなかでも、ファッションや飲食店などが建ち並ぶ代官山。人気スポットの一角に、こんな自然をいかした広大なお屋敷が残っていたとは!? という感じです。どんな家なのか、もう少し詳しく紹介しましょう。

地元の旧家が重要文化財に


朝倉家は現在の代官山あたりの大地主で、昭和の初期まで米穀商を営んでいました。この家は、朝倉虎治郎氏が大正8年に建てたもの。朝倉家はかの有名なヒルサイドテラスの事業主でもあります。

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瓦屋根のどっしりとした木造二階建ての旧朝倉家住宅。築90年近い建物です
戦後、朝倉家がこの土地と屋敷を手放した後、現在の内閣府が会議所として利用してきました。その後、一時期は売却の話も持ち上がりましたが、地元の有識者などの働きにより、重要文化財に指定され、2008年に公開されることになりました。

敷地の特徴をいかした設計


旧朝倉家は、高低差の大きな地形を最大限に利用したつくりになっています。約1,640坪という広大な敷地は崖線になっており、南西に向かって傾斜した土地の北側に木造二階建ての主屋と土蔵、東側に車庫などが建っています。

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建物は敷地北側の一番高いところに建っています。そのため、傾斜した庭や借景を楽しめるだけでなく、日当たりや開放感も格別です
庭にはツツジやモミジなどの植栽のほか、石灯籠などが置かれ、回遊できるように敷石が配されています。また、お屋敷から庭を見下ろす格好になるため、遠くまで視線が伸び、広がりを感じます。高い建物が少なかった当時なら、かなり遠くの借景も楽しめたでしょう。

明るく日当たりのよい場所を生活の場に


玄関を入って左手には、来客を迎えるための12畳の和室があります。床の間付きの応接用の和室です。

さらに奥へ進むと、家族が日常使っていた3つの部屋が配置されています。10畳の仏間、12畳の中の間(居間)、10畳の寝間の3部屋で、現在は一続きの会議室に改造されていますが、日当たりがよく、庭にも出入りしやすい条件のよい場所です。大きなお屋敷ではありますが、この家の中でも明るくて、庭の緑を楽しめる空間を生活の場にあてていたようです。