日本代表の新たなるページがめくられた
日本代表に、新しい風が吹きつつある。
ヴァイッド・ハリルホジッチ監督(62歳)の就任によって、日本代表には新しい風が吹き込んでいる。ハビエル・アギーレ前監督に降りかかった八百長疑惑によって、チームは強制的にリスタートをはかることとなった。
旧ユーゴスラビア出身の指揮官は、組織の構成員たるメンバー選考に変化を加えた。10年以上にわたって代表でプレーしてきた遠藤保仁(35歳・ガンバ大阪)を外し、フレッシュな選手を呼び寄せたのだ。2018年のロシアW杯を見据えて、世代交代へと着手したのである。
3月27日に行われたチュニジアとのテストマッチには、代表経験はあるものの出場機会の少ない選手、代表に初めて呼ばれる選手が先発にズラリと並んだ。今年1月のアジアカップのレギュラー格は、MF長谷部誠(31歳・フランクフルト/ドイツ)とDF吉田麻也(26歳・サウサンプトン/イングランド)の2人だけだった。FW本田圭佑(28歳・ミラン/イタリア)もFW岡崎慎司(28歳・マインツ/ドイツ)も、MF香川真司(26歳・ドルトムント/ドイツ)もGK川島永嗣(32歳・スランダール/ベルギー)も、キックオフの瞬間をベンチから見つめた。
試合を決めたのは、後半から起用された岡崎と本田だった。香川も鋭い動きを見せた。これまでチームを牽引してきた海外ベースの選手が、それぞれの力を示したわけである。日本はチュニジアを、2対0で下した。
だからと言って、既存のメンバーをスタメンで起用していたら、現状維持でしかない。新しい選手を呼んだところで、彼らの可能性を推しはかることはできない。
何よりも、チームに競争原理がもたらされない。
マンネリズムを打破した指揮官
スポーツでも企業でも、組織が沈滞する理由のひとつにマンネリズムがある。サッカーチームがメンバーを固定化して戦えば、決められた選手同士のコンビネーションは深まる。「こういう場面ではこうしよう」とか「ここでボールを奪ったら自分はこう動こう」といった経験則を共有できているので、ゲームの進め方に滞りがない。
その一方で、予想外のプレーは生まれにくい。簡単に言えば、戦い方が単調になってしまうのだ。対戦相手に細かくスカウティングされると、自分たちの良さを発揮できなくなってしまうリスクが高まる。
観る者にとっても新鮮味に欠けるので、メンバーを固定化して結果が出ないと批判を受けやすい。昨夏のブラジルW杯のチームも、1月のアジアカップのチームも、そうした理由から厳しい意見を浴びることとなった。
ハリルホジッチ監督によってスタメンに抜擢されたり、途中出場の機会を得たりした若い選手は、自分の何が強みとなり、何を改善すべきなのかを国際舞台のピッチで実感できたはずだ。海外ベースの選手との間に横たわる違いも、はっきりと肌に突き刺さったはずである。
果たして、3日後のウズベキスタン戦では、チュニジア戦で代表デビューを飾った川又堅碁(25歳・名古屋グランパス)が、途中出場からゴールを奪った。代表での自身初ゴールである。同じく後半途中からピッチに立った宇佐美貴史(22歳・ガンバ大阪)も、代表初得点を記録した。
これまでスタメンを約束されてきた選手たちも、安閑とはしていられない。岡崎らが途中出場から結果を残したのは、自分たちの存在価値をハリルホジッチ監督に示す、という気持ちの表れでもあっただろう。
主力を追いかける選手たちを刺激し、主力にも危機感を意識させることで、ハリルホジッチ監督は競争原理を持ち込んだのだ。
>>U-22日本代表でも新たなチーム作りが進んでいる