ドイツで2年に1回開催される国際デンタルショー。通称IDSは世界最大のデンタルショーであり、世界中のあらゆるメーカーがここを目指して器材や薬剤の開発を行っています。

私が参加したのは今回で3回目。どうしても薬事申請などで時間を必要とする日本では世界の最新情報とタイムラグが発生してしまうため、リアルタイムで情報を入手する為にも参加をしております。そんなIDSの中でも注目されていたのが3Dプリンターです。今回は3Dプリンターの可能性についてお話させて頂きます。

多方面での注目度

3Dプリンターと言えばフィギュアやプラモデルといったホビー業界や金属製品の生産、加工といった工業業界で重宝されている物と思われているかもしれません。みなさんもテレビなどでよくご覧になられていることでしょう。

しかし今、医療業界での活躍が大きく期待されているのです。

今年に入って大手メーカーと病院がコラーゲンを使用した3Dプリンターでの皮膚と関節の量産技術を確立したと発表しました。3Dプリンターを有効に使うことで、移植を待ち望んでいる多くの方へ短時間で安全に皮膚や骨を提供できるようになったのです。

歯科業界で注目されているのは?

では、歯科業界での3Dプリンターの期待度はどのようなものなのでしょうか?

異素材を組み合わせて再現。

3Dプリンターで違う質感の物も組み合わせて再現することが可能に。

右の写真は全て3Dプリンターで作られたものです。

一世代前のものは単色で精度も思うようにはいかず、手術トレーニングやプランの確認などに使われていました。他にはサージガイドと呼ばれる手術サポート器具に使われてます。こちらも最近では精度も格段に上昇しており、一世代前のサージガイドとは雲泥の差の精確なフィット感を得ることが出来ています。3DCTのデータだけで製作した無歯顎ケース骨支持タイプのサージガイド精度には私自身も驚かされました。

写真を見て頂くと一目瞭然ですが、種類の違う材料を一緒に組み合わせて製作することができるようになり、外観や材質的な再現性も恐ろしく向上し、且つスピーディーになっています。

写真左中央の総義歯は、白い歯の部分は硬めの材料、ピンクの床の部分は柔らかめの材料で弾力があり少したわむようになっています。

ここまで進化した3Dプリンター、更にブラッシュアップされると義歯の吸着安定のコンセプトが根底から変わることになるでしょう。もちろんキャストしてメタルにするためのワックスパターンや、硬質レジンのクラウンやブリッジ100本をわすが1時間程で作れるものも出来ています。

歯科業界での3Dプリンターの今後

3Dプリンターとしての知名度も上昇し、現在はメーカー各社それぞれが特徴を持ち他社との差別化で鎬を削っていることでしょう。今後この方向性は必ず進んでいき、現在主流のCAD/CAMに取って代わる可能性も充分ありえるのではないでしょうか?

3Dプリンターで作成した上部構造

3Dプリンターでクラウンやブリッジといった上部構造も製作できます。

IDSの会場でも歯科業界ではなく一般工業界の企業展示ブースが大きくなっていました。これは一般工業界での3Dプリンター浸透具合と精密度や、それらの会社の歯科業界への興味の表れではないでしょうか?

歯科業界だから、一般工業界だから、と相容れないのではなく互いに協力し切磋琢磨することでより便利に、より簡単に、よりスピーディーに、大きく進化する可能性があるはずです。そしてその日はもうすぐそこかもしれません。

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