期待したものはどんなものだったのか、満足や不満はどこか、通信制高校の生徒と保護者約3,600名へのアンケート調査の結果から見てみます。
このアンケートは、2014年12月に新しい学校の会が発表した『通信制高校生徒・保護者アンケート調査報告書』(調査期間2014年9月~10月)によるものです。報告書は、18校の私立通信制高校に在籍している生徒2,468名、保護者1,186名、合わせて3,654名からの回答をもとにしています。
生徒以上に高い保護者の「高卒」への期待感
通信制高校への期待のトップは「高卒資格が確実にとれる」
私は、通信制高校進学を考えている人が集まる合同相談会で来場者からの相談を受けているのですが、通信制を選ぶ最初の動機は、せめて高校だけは卒業したい、させたいという切羽詰まった場合もあります。「中学は不登校だったが、高校だけは卒業したほうがいいから」「入学した高校を辞めようと思うが、中退のままだと社会でやっていけないから」など、将来のことまで考えると、保護者のほうが、高卒資格の必要性をより強く感じるのだと思います。
入学時は期待度の低い「友だち」
「高卒資格が確実にとれる」に次ぐ入学時に期待したことは、生徒と保護者では異なる結果になりました。生徒は、「登校日の組み立てができる(41%)」「自由時間が増える(36%)」「登校日が少ない(35%)」「先生が親しみやすそう(33%)」「厳しい規則がない(33%)」がベスト5。
友だちができたから学校が楽しくなったという声は、高校生と話していると必ず聞くのですが、入学時の期待では「友だちがつくれそう(19%)」は意外にも低く、むしろできるかどうかわからないという“不安感”が高かったようです。いじめや人間関係でいやな思いをしている場合には、入学時は、あえて友だちをつくらないつもりだったという人は少なくありません。
保護者では、「不登校経験者への配慮(52%)」「子どものペースで学校生活の組み立て(45%)」「先生が親しみやすそう(41%)」「個人指導、少人数制(34%)」がベスト5。
不登校経験者への配慮が高い期待を持たれているのは、入学者に占める不登校経験者の割合が約6割と高いことからもうなずけるのですが、生徒の回答は28%と保護者ほどには高くなっていません。生徒にとっては、登校日の組み立てができ、登校日を少なくすることができるなど通信制の仕組みが不登校への配慮になっているのだと思われます。
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