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夫婦間に、タブーはあるか

「夫婦にはなれても家族にはなれなかった」タレント・スザンヌさんの離婚コメントは印象的だった。夫婦であることと家族になること。そこにはどんな違いがあるのか。家族になれたら、それで幸せなのか……。

亀山 早苗

執筆者:亀山 早苗

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タレントのスザンヌさんと野球解説者の斉藤和巳さんが離婚した。会見で、スザンヌさんは話し合いができなかったことをあげ、「夫婦にはなれたけど、家族になる過程がうまくいかなかった」と語った。
離婚の理由など第三者にはわからない。当事者でさえわかっているとは限らないものだ。ただ、彼女が言った、この言葉は非常に興味深い。

日常生活が忙しくて、互いに踏み込めない

家族

家族になるとはどういうことだろうか

夫婦になるのは簡単なことだ。恋愛して、お互いに好きだからこのまま一緒にいたいという気持ちの延長で結婚すれば夫婦になれる。あるいは、見合いで「この人とはうまく生活していけそうだ」と思って結婚すればいい。婚姻届を出した瞬間、法律上、夫婦となる。

ところが、結婚生活は、日常の積み重ねだ。ふたりきりで甘い生活を送れると思っていたら、姑がことのほか口うるさく介入してきたり、親戚づきあいが面倒だったりと、予想外のことも起こってくる。

それでも日常は過ぎていく。日常生活は習慣と惰性の繰り返しのようなもの。そんな中で、夫婦は男女としての関係より、「家族」としての絆を深めていく。子どもが生まれれば、日本ではどうしても子ども中心の生活になる。そして、それをよしとする家庭も多い。

スザンヌさんの場合、子ども中心の生活になっていく過程で、夫ときちんとコミュニケーションがとれなかったのかもしれない。

ただ、中には「家族にはなれたけど、夫婦としての関係が崩れてしまった」と言う女性も多い。結婚生活が長くなればなるほど、そういうことが起こるのではないか。

「つい先日、結婚して15年で離婚しました。結婚後、5年たってようやく子どもができて、これで家族として完璧な形が作れたと思ったし、ふたりとも『親』としてがんばったけど、気づいたら夫婦として、お互いのことが何もわからなくなっていました。最後は夫の浮気がわかり、『いつからか女として見られなくなった。もうおまえとはやっていけない』と言われて、ああ、私も同じように思っていたなあ、と」

ナオミさん(40歳)はそう話す。「いつの間にか」「知らないうちに」夫婦の仲がおかしくなっていったと言うが、おそらく些細な違和感の積み重ねなのではないだろうか。

「夫婦って、いちいち話し合わなくても暮らしていけてしまうんですよね。特に子どもができてからは、話は子どもの成長や、子どもにまつわる行事の予定すりあわせ。夫が何を考えているのか、夫に今日、どんなことがあってどんなふうに気持ちが揺れ動いたのか、私に対してどう思っているのか。そんなことはまったく話さなかったし、考えもしなかった。恋愛中は、夫の心の中ばかり覗きたがっていたのに……」

ふとしたときに夫が漏らした、「仕事が大変なんだよ、今」という言葉も、ナオミさんは深く受け止めなかった。

>>夫婦だから、話せないこともある
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