J-POP/ヴィジュアル系グループの情報

闘病生活を経て新たな壁に立ち向かうSynk;yet(3ページ目)

シンフォニックなメタルサウンドで実力の高い若手バンドとして知られるヴィジュアル系バンドSynk;yet。以前、悪性リンパ腫のため闘病生活を強いられたBa.栞-shiori-が今月10日、再発の可能性の疑いのあることを報告。発表後に行なった緊急取材にて気丈に振る舞う彼から受け取った言葉は大変印象深く、改めてバンドやファンの形について考えさせられるものであった。

執筆者:金川 彩子

後悔をしないような応援の仕方とは

Synk;yet,栞

贈られた千羽鶴

それはファンにとって永遠の難問だろう。

病気に掛かってから、人生を1秒たりとも無駄にしてはいけないと思う気持ち、また、それは決してネガティブな気持ちから来るものではなく、その日のライブが最後で、この先ステージに立つ機会はもうないかもしれない、という思いに常に駆られながら、今まで以上に思い入れを持ってステージに立っているという栞。

そしてファンに向けて次のようにメッセージを送った。

「たまには休息も必要ですが、日々勉強だと思って命ある限り全力で生きてほしい」

ライブを主な活動の場としているヴィジュアル系バンドにとって、動員というのはバンドの大きさを測るひとつの重要な指標であり、動員獲得のために各バンド、あれこれと様々な施策を練る。

「ライブへ行けなくてごめんなさい」というファンによる言葉は、そんな彼らの思いに応えたいという心理より来るものだろう。

実際、ファンにとって、現実の社会と折り合いをつけながら、バンドに掛ける比重をうまく調整することは容易いことではない。バンドに熱を上げれば上げるほど、例えばツアー中何公演観覧したら自分の中で気が済むか、納得できるか、と心理的に、後悔しないと思えるポイントを定めることは難しい。

だが、彼の容態に反した力強い言葉は、本来、バンドにとってたくさんのライブに来てくれることだけが喜びではなく、自分たちの音楽が、日々の生活を目いっぱい生きる手助けになったり、リスナーの背中を押し出すきっかけとなるなど、音楽を介することによってリスナーにもたらす送り手本来の喜びの形を思い返し、ハッとさせられる。

すると「ライブへ行けなくてごめんなさい」という言葉は、そう言わしめる活動の生み出す、現在のシーンを象徴する不思議な言葉に思えた。

>>次ページでは、Synk;yetの気になる今後とメッセージをお届けします。
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