ご自宅のハードディスクに録画したままになっている映像を見たいなと思ったり、また、世界選手権をわくわくした気持ちで迎える一助になったりしたら、と思います（ご紹介したい演技はたくさんあるのですが、ここで取り上げるのは、世界選手権に出場予定の選手たちの演技のうちのほんの一部になります。もちろん、これら以外にもたくさん、素敵な演技があります）。
まず、男子シングルです。
羽生結弦選手 グランプリファイナル
フリー『オペラ座の怪人』
今シーズンの羽生選手は、「困難に遭遇し、乗り越える」ということを繰り返してきています。腰痛、中国杯（11月）の6分間練習での他選手との激突による故障、その直後の演技、約20日後のNHK杯、グランプリファイナル優勝、全日本選手権優勝、その直後の尿膜管遺残症による手術、入院、安静の日々、数週間後の復帰後すぐ右足首の捻挫……いずれか1つでも大変なことですが、羽生選手は戦い続けています。こうした数々の大波に立ち向かっている今シーズン、最初の克服を強く世界に印象づけた、グランプリファイナルのフリーです。
小塚崇彦選手
全日本選手権 フリー『Io Ci Saro』
グランプリシリーズ2戦で好成績を残せなかった彼が世界選手権に行くためには、全日本選手権で表彰台に乗ることが不可欠でした。ショートプログラムは6位。フリーの小塚選手は、冒頭に4回転トウループを2度決め、すべてのジャンプをこらえ続け、とにかく攻め抜きました。小塚選手自身も演技後熱い思いがこみ上げてきたという、感涙を誘われてしまう演技です。
無良崇人選手
スケートカナダ フリー『オペラ座の怪人』
今シーズンが始まる前から、無良選手はすでに2018年のピョンチャン五輪に目標を定めています。その4年間の最初のグランプリシリーズの大会で、4回転トウループを2回入れるフリーで逆転優勝を果たしました。「今までスケートをやってきた中で、一番よかった（いい演技だった）」と言う、無良選手らしい力強く男らしい演技。演技後、得点が出たあとにこらえきれずに涙する無良選手の姿に、彼が昨シーズン味わった悔しさやそのあとの練習の日々の片鱗が浮かび上がってきます。
デニス・テン選手（カザフスタン）
四大陸選手権 フリー『十面埋伏』ほか
ソチ五輪銅メダリストのテン選手は、カザフスタン選手として初めてフィギュアスケートの五輪メダリストとなったことから、国内で大スターに。それから1年後、五輪でメダルを獲得したのと同じ2月14日に、次の五輪の開催国である韓国での四大陸選手権で優勝した時のフリーです。テン選手はカザフスタン人ですが、4代前の祖先は有名な韓国人の軍人（ミン・グンホ）で、韓国とは、自身のルーツでもある国。そんな風に様々な思いが巡らせられるなかで魅せた演技です。
ミーシャ・ジー選手（ウズベキスタン）
四大陸選手権 ショートプログラム『アヴェ・マリア』
世界選手権などのメダリストではありませんが、ジー選手は演技中に世界観を作り上げることのできる稀有なスケーターのひとりです。この『アヴェ・マリア』からは、彼の思いや強い気持ちが強く伝わってきます。今シーズンの彼は、ショートプログラムだけでなく、フリー『シェルブールの雨傘』でも、常に素晴らしい演技を見せ、試合のたびにファンや観客の胸を熱くしています。
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また、男子シングルの試合とは異なりますが、3月25日（水）19時（日本時間）からのオープニングセレモニーには、エフゲニー・プルシェンコ選手が登場するとのことです。
