介護

要介護状態は20代の頃から作られる!?(2ページ目)

若い頃から運動習慣を身につけることによって、高齢期における生活習慣病や後遺障害による要介護状態を予防することができます。また、万が一要介護状態に陥ったとしても、運動習慣がある人・ない人では回復力に大きな差があらわれます。要介護状態は、本人だけではなく働き盛りの家族にも負担が生じますので、お子さんや家族の将来に備え「脳力・回復力」を蓄え要介護状態を予防していきましょう。

執筆者:中山 奈保子

若い頃からの運動習慣が要介護状態の回復を促進

要介護状態を引きおこす最大の原因が、生活習慣病であることは、既にご存知の方も多いと思います。生活習慣病と要介護状態は常に表裏一体といっても過言ではありません。幼い頃に始まる生活習慣(食事・運動・睡眠等)の乱れが生活習慣病、さらには要介護状態を引き起こします。

ここでもう一つ。
皆さんに是非知って頂きたいのがリハビリの成果と若い頃からの運動習慣の関係です。
リハビリ

リハビリにより要介護状態を回復させることができます。



万が一、脳卒中にかかり手足の運動機能や言語機能に後遺障害を残してしまっても、理学療法・作業療法・言語聴覚療法をはじめとしたリハビリにより、要介護状態を回復(改善)させることができます。ところが、若い頃から運動の習慣があるかないかによって、リハビリの成果に個人差が生じること多々があるのです。

例えば、若い頃からスポーツを続けてきた人は、高齢になってもとても姿勢が良く関節の柔軟性(関節可動域)に優れている傾向があります。こうした方は筋力の回復を得られやすく、リハビリ中に腰痛や膝痛、肩こりを起こし訓練が休止になるということも殆どありません。

また、身体を動かすことに慣れている人は、リハビリで行われる運動プログラムにも馴染みやすいと言えるでしょう。例えば、片足の感覚が完全に麻痺した状態で行われる歩行訓練は、赤ちゃんがよちよち歩きを始める過程よりも複雑です。ガイド自身が実際に担当したリハビリ場面を振り返ってみますと、そのような困難を極めるリハビリであっても、運動に慣れている人ほど身体に覚えこませるまでにそう時間を要しない傾向が見られます。また、スポーツの経験がある人ほど、最後まで諦めず挑戦するという気持ちや集中力が自然と発揮れることにより、成果を得られれやすいという印象もあります。

テレビゲーム世代の現代っ子たちが高齢になった時のことを考えると非常に心配です。木登りや畑仕事など身体を動かすことが習慣化されていた世代だからこそ、リハビリによって要介護状態を軽減させ、再び生きていく力を回復させることができるのかもしれません。


お子さんの将来に備え、脳力と回復力を備えよう。

たとえ要介護状態に陥っても、リハビリにより「介護をできるだけ必要としない」生活を送ることができれば、様々なメリットを得ることができます。自分自身だけではなく家族の負担も減り、介護離職や介護うつ、虐待といった問題を回避することができるでしょう。要介護状態が改善されれば、経済的な負担の軽減にも繋がります。例えば、自力ては立ち上がりや歩行が困難となった「要介護2」に相当していた人の介護度が、「要介護1」に変化するだけでも年間6万円~7万円の負担軽減になると言われています。

若い頃から“脳力”や“回復力”を蓄えておくことで、老後の生活を明るく前向きに過ごすことができるだけではなく、家族への負担を出来る限り軽くすることができるでしょう。まだ小さなお子さんが居る親御さんほど、お子さんの将来のために備えていくことをお勧めします。

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