「デスラー総統」と「タコ」に共通点?
そういえばタコの血液って見たことないですね
人間の血液の色を決めているのはヘモグロビンですが、 タコやイカなどの軟体動物、エビやカニなどの節足動物では、「ヘモシアニン」という物質によって酸素を体内に運搬します。ヘモグロビンでの鉄のように、ヘモシアニンでは銅が同じような働きをしているのです。ヘモシアニン本体は無色透明ですが、酸素と結びつくことで銅イオン由来の青色になります。生きているタコやイカの血液は青色なのです。
宇宙戦艦ヤマトに登場するデスラー総統は、青い皮膚の色が特徴的です。デスラー総統の皮膚が青いのは、もしかしたら血液中にあるのがヘモグロビンでなくヘモシアニンだからなのかもしれません。そういえば宇宙人の皮膚の色って青いことが多いですね。
通常タコの血液を見ることができない理由
でも、「生のタコでも青い血なんて見たことがない」と思われる方も多いかもしれません。私たちが魚屋さんなどで見かけるタコやイカの血液は、酸素と結びついてないヘモシアニンとなっています。すでにタコの血液は青色から無色透明に変化してしまっているのです。日常ではタコやイカの青い血を見ることは難しいのですが、釣ったばかりのような活きが良い状態なら青い血を見ることができることもあるようです。貧血の指標であるヘモグロビンは、植物にも存在する?
植物にもヘモグロビンが存在することがわかってきました
メキシコのモレロス州立自治大学で専門の根粒ヘモグロビン(レグヘモグロビン)の進化を専門にしているアレドンド=ピーテルは、「大麦からトマトまで多くの植物がヘモグロビンを含んでいる、ヘモグロビンは非常に古くからあるタンパク質だ」ということを話しています。
植物ヘモグロビンが人間の代用血液になる可能性?
ただし、植物でのヘモグロビンの働きは人とは異なるようです。ヘモグロビンは酸素の他、一酸化炭素や一酸化窒素とも結合します。植物では、一酸化窒素と結合しこれを細胞に届けて、成長を調節するシグナルを送っていると考えられています。植物でもヘモグロビンが存在するということが明らかになってきました。それでは、植物のヘモグロビンから人間の代用血液を作ることはできるでしょうか? 人間ヘモグロビンと植物ヘモグロビンは働きなど異なる点がまだまだ多く、植物ヘモグロビンが人間向けの代用血液になるには研究の余地がかなりありそうです。