2014年は全ての年代で消費額は減少!厳しい1年
どの世帯も収支が厳しい1年
今回は世帯主の年齢別に収支データを見て行くことにしましょう。
2人以上世帯の消費支出を世帯主の年齢階級別にみていくと、40歳未満は1世帯当たり1カ月平均267,324円(前年比実質2.3%減少)、40~49歳の世帯は322,987円(同1.8%減少)、50~59歳の世帯は346,211円(同3.7%減少)、60~69歳の世帯は295,955円(同1.8%減少)、70歳以上の世帯は241,266円(同3.2%の減少)と、全ての年代階級で実質減少となりました。
2人以上世帯のうち勤労者世帯の可処分所得を世帯主の年齢階級別にみて行くと、40歳未満は1世帯当たり393,162円(前年比実質2.3%減少)、40~49歳の世帯は458,577円(同1.4%減少)、50~59歳の世帯は470,924円(同5.2%減少)、60歳以上の世帯は333,612円(同3.2%減少)と、全ての階級で実質減少となりました。
中でも、50~59歳の実質減少率が最も大きかったことから、同じ世代としては厳しさを共感できる1年でした。
また、単身世帯の消費支出を年齢階級別にみて行くと、35歳未満の世帯は165,713円(前年比実質3.6%減少)、35~59歳の世帯は181,773円(同2.1%減少)、60歳以上の世帯は150,769円(同2.2%の減少)と、やはり全ての階級で実質減少となりました。
ただし、住宅ローン返済世帯における住宅ローン返済額は、1世帯当たり1カ月平均97,850円で、2013年と比較して名目で2.0%の減少となりました。可処分所得に対する住宅ローンの返済割合も減少していることから、低金利を背景とした借り換えが増えた、あるいは繰上返済を行った世帯が増えた等々、厳しいながらも家計の健全化を進めたことが伺えます。
高齢無職世帯は現役世代より厳しい1年
高齢無職世帯と言うとイメージが悪い気がしますが、簡単に言えば退職したリタイア世代のことです。高齢夫婦無職世帯(夫65歳以上、妻60歳以上の夫婦のみの無職世帯)の実収入は207,347円、2013年と比較して名目で3.5%減少、実質で6.6%の減少となりました。実質収入が大幅に減少したことから、可処分所得も2013年と比較して名目で3.8%減少、実質で6.6%の減少になりました。マクロ経済スライド(過去分)により、年金額が減額された影響が大きかったことがわかります。消費支出は239,485円で、2013年と比較して名目で1.3%の減少、実質4.5%の減少となりました。
高齢単身無職世帯(60歳以上の単身無職世帯)の実収入は112,207円、2013年と比較して名目で9.0%減少、実質で11.9%の減少となりました。実質収入が大幅に減少したことから、可処分所得も2013年と比較して名目で8.5%減少、実質で11.4%の減少になりました。マクロ経済スライド(過去分)により、年金額が減額された影響が大きかったことがわかります。
消費支出を減らしにもかかわらず、収入が減り可処分所得も減少したことから、可処分所得-消費支出では、高齢夫婦無職世帯61,560円、高齢単身無職世帯41,516円の不足となりました。過去10年では最大の不足額、言い換えれば資産からの取り崩しなどを行ったことになります。同時に、現役世代の人は年金だけでは過ごせないことを実感できる数字と思われます。
2014年の家計消費の特徴
2014年の2人以上の年間消費の特徴は、消費税引き上げ前に大幅な駆け込み消費があったことから、引き上げ後の反動減は予想外の減少となり、年末までその影響を引きずる状況となりました。保存が効く食料から耐久消費財まで、ほとんどの商品が2014年3月に対前年比二桁以上の増加となったものの、翌4月には二桁以上の減少となっています。品目別に見てみると、お米は消費税引き上げ後も年末まで対前年比を下回っていますが、油脂・調味料は2014年10~12月期に対前年比を上回っています。お米が戻っていないのは、日本人のお米離れが影響しているのかもしれません。
住宅のリフォーム、冷蔵庫、エアコンなどの家庭用耐久消費財、家事用消耗品も年末までに対前年比を下回っていますが、理美容用品は2014年10~12月期に対前年比を上回っています。
2014年夏の天候不順による影響を受けたとみられる主な品目では、アイスクリーム・シャーベット、茶飲料、外食、エアコンディショナ、国内パック旅行をあげることができますが、茶飲料は2014年10~12月期に前年同期を上回ったものの、残りは前年同期比を上回っていません。天候不順だけではなく、消費税引き上げの影響が大きかったことを物語っている気がしてなりません。