その1:ママの言葉が実は落とし穴
親の叱咤激励が子供には重すぎることも…
もちろん、当のママには悪気はありません。むしろ愛する我が子を何とか奮起させたい!と思うからこそ。 例えばこんな言葉。
「さっさとやっちゃいなさい!」
「たったの3ページじゃない。こんなのすぐに終わるわよ」
「グズグズしていないの」
「どうしていつもこうスタートが遅いのよ」
「○○ちゃんはもう~~できるっていうのに」
「あるある」と感じた方もいるのではないでしょうか? でも、これらのメッセージ、もし自分が言われたらどうでしょう? 素直に、「そうかそうか」とやる気になれるでしょうか? いえいえ、なれませんね。「バカにして!」と感じる方もいれば、逆ギレしてやる気喪失という方もいるでしょう。
自分に言われたら超ショックな言葉、他人には決して言わないようなきつ~いひと言。どうして子供には言ってしまうのでしょう? それは、「子供は親の言うことを聞くべき」「親は子供をリードしなくては」、そんな“気張り”が関係している気がします。
一番傷つけたくない我が子を言葉で一撃してしまってはもったいないです。「この言葉って言われて嬉しいかな?」と疑問を感じたら、まずは自分でお試しを。自分の立場に置き換えてみると、事の良し悪しの判断がつきやすくなります。
その2:よくできる子だからこそ気をつけたい落とし穴
もともと好奇心が旺盛で、何でもスマートにこなせる子なら、親は“やる気問題”で悩まずに済むかというとそうではありません。というのも、親はただほめて伸ばせばOKというわけではないからです。持って生まれたやる気をそのまま伸ばしてあげるためには、ひとつ注意が必要です。それは、ステイタスほめをしないということ。よくできる子は、当然、沢山の華々しい結果を残していきます。幼稚園時代はカラフルなお絵かき、かけっこの1等賞。小学校では、学校の作品、テストの点数、通信簿……。親はその度に感激し、これぞとばかりの賛辞を贈ります。「○○ちゃん、100点すごいね」と。実は、よくほめられる子だからこそ気をつけてあげたいポイントがここ。
その子の成果ばかりに着目してしまうと、その子は段々、次のような錯覚に陥ってしまうことになります。
- 「100点のワタシはすごい」ということは、「100点じゃないワタシはすごくない?」
- 「かけっこが早いボクはすごい」ということは、「かけっこで2位じゃ、ボクはダメな子?」
これは、自分の中身を「良い子」と「悪い子」で二分化してしまっている好ましくない心理状態。どんな子だってずっと1番ではいられません。浮き沈みがあっても、それでも「自分のことが好き」と言えるのが、本当の自信です。そんな子になるために、親はその子の本質をほめてあげたいもの。例えば、100点を取ったら、それを実現した“ハングリー精神”、先生の話をしっかり聞けた“集中力”、など、その子から湧き出るパワーをほめてあげるのが理想的です。
その3:男女差という意外な落とし穴
やる気アップ×性別。男の子と女の子で、その方法に違いはあるのでしょうか?実は特に気をつけていきたいのが女の子のママ。というのも、女の子は困難や失敗に直面したときに、持って生まれた才能が原因と考える傾向が男の子よりも強いことが分かっているからです(*)。
「お絵かきが思ったように描けない」
「足し算がよく分からない」
「作文、どうやって書いたらいい?」
こんなつまずきを、「できないのは自分に才能がないから……」と感じやすいのが女の子。女の子のママはそういう特徴を意識して、できばえや成果にこだわる声かけを極力排除していきましょう。そして、
- (間違っていたけれど)頑張ったこと
- (時間内にできなかったけれど)一生懸命だったこと
一方の男の子はというと……。男の子の親はなぜかもともと「努力ほめ」を用いる傾向が強いのだそう。努力ほめとは、その努力の過程をほめること。ほめ方の理想形です。
男の子に期待しやすいチャレンジ精神、ガッツ、根性が、まさに努力ほめとマッチしているからかもしれませんね。女の子のママも、このような心のたくましさの部分に着目してみると上手にモチベーションアップが図れるはずです。
*出典:学術誌 Child Development(2013)「Parent praise to 1- to 3-year-olds predicts children's motivational frameworks 5 years later.」より