貯蓄/平均貯蓄額などの気になるデータ

収入・支出ともに減少!2014年は家計には厳しい1年

よその家の家計収支は気になっても、なかなか知る機会はないものですよね。今回は国が調査している家計に関する調査報告から、家計の動向を見てみましょう。2014年は、家計にとって厳しい1年だったといえそうです。

深野 康彦

執筆者:深野 康彦

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消費税増税の影響?世帯当たりの支出は減少。大きく減少は「教育費」

増税で家計には厳しい1年に

増税で家計には厳しい1年に

2015年2月17日に総務省から「家計調査報告(家計収支編)」2014年平均速報結果の概況が公表されました。

2014年の総世帯(平均世帯人員2.41人、世帯主の年齢58.3歳)の消費支出は、1世帯当たり1カ月平均25万1481円となり、名目では2013年と同水準でしたが、物価変動の影響を除いた実質では3.2%の減少となりました。

減少は東日本大震災の影響を受けた2011年以来3年振りですが、3.2%の減少は2011年の1.7%減少を大きく上回っています。夏場の天候不順などの影響もあったと報告されていますが、消費税引き上げの影響が減少を大きくした要因と思われます。なぜなら、2014年10月~12月期でも前年同期比のマイナスが続いているからです。

総世帯の消費支出を10大費目別にみると、「被服及び履物」の1項目だけが実質増加となっただけで、交際費などの「その他の消費支出」、「食料」、「教養娯楽」、「光熱・水道」、「交通・通信」、「教育」、「住居」、「家具・家事用品」、「保健医療」の残り9項目は全て実質減少となっています。

ただし、食料、光熱・水道、家具・家事用品、保健医療、交通・通信は名目では増加しています。さまざまなものが値上がりした影響が、家計に如実に現れていますが、名・実共に大きく減少したのが教育費です。一過性の現象なのか定かではありませんが、お子さんがいる家計は、子ども教育費は計画的に準備する必要がより高まっている気がします。

また、消費税引き上げ前の2014年1月~3月期に、耐久消費財の駆け込み需要があった半面、消費税引き上げ後は駆け込み需要の反動が年末まで続いていることも象徴的な家計行動と言えるかもしれません。

実収入も実質で3.2%の減少

総世帯のうち勤労者世帯(平均世帯人員2.74人、世帯主の平均年齢46.4歳)の実収入は、1世帯当たり1カ月平均46万8367円。2013年と比較して名目で同水準、実質で3.2%の減少となりました。勤務先収入の内訳をみると、世帯主の定期収入、臨時収入・賞与は、名目では増加していますが実質では減少しています。ただ、世帯主の配偶者の収入は名目、実質共に減少となっています。

また、勤労者世帯の直接税(所得税、住民税など)、社会保険料などの非消費支出は、厚生年金保険料、介護保険料が引き上げられているにも関わらず、2013年と比較して名目1.3%の減少となっています。このため可処分所得は、2013年と比較して名目0.3%増加の38万1929円となりましたが、実質では2.9%の減少となっています。

勤労者世帯の消費支出は28万809円で、2013年と比較して名目では0.1%増加、実質では3.1%の減少です。実質面ではこれまで見てきたさまざまな項目が減少となっていますが勤労者世帯の黒字額は10万120円となり、2013年と比較して名目で0.8%の増加となっています。

黒字率も26.5%と0.2ポイントの上昇となっていることから、預貯金の純増は17.1%で2013年と比較して1.4ポイントの上昇しています。低金利が蔓延していることを考慮すれば、増加分はほぼ全て元本の増加と考えられます。

消費税の引き上げや物価の上昇を背景に、実質では家計にとって厳しい1年間でしたが、調査データからは家計収支の健全度は上がっており、また貯蓄額も順調に増えたことから頑張って家計運営を行っていることが伺えます。皆さんの2014年の年間の家計収支はどのような状況だったでしょうか。

ちなみに、黒字とは可処分所得から消費支出を差し引いた額、黒字率とは可処分所得に対する黒字の割合であることから、黒字額がそのまま貯蓄になったかは判別がつきかねます。

※パート2では、世帯主の年齢階級別などのもう少し詳細なデータを見て行くことにしましょう。
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