GSX-R1000はハイパワーながら扱いやすい
GSX-R1000に搭載されているエンジンは999cc水冷DOHC4バルブ直列4気筒エンジンです。最高出力は185ps/12000rpm。同社の軽自動車ワゴンRが52ps/6000rpmなので、ワゴンR三台分以上の馬力を搾り出していることになります。それでいて車重はワゴンRの三分の一以下。
上記の数字だけ見てもとんでもないパワーマシンであることがわかると思いますが、実際に乗って運転すると非常に運転しやすいバイクです。
GSX-R1000にはS-DMSという装置が搭載されています。正式名称は「スズキドライブモードセレクター」で、A、B、Cの3つのモードの切り替えが可能です。Aモードが最高の出力が得られるモードで、以下B、Cの順番にマイルドになっていきます。
GSX-R1000をお借りした当日、翌日は残念ながら雨天でしたが、雨の日でも通勤でバイクに乗らなければなりません。ハイパワーマシンのGSX-R1000での通勤はちょっと弱腰だったのですが、Cモードに設定してみると特にヒヤッとすることもなく全く普通に乗れました。同装置は先日お借りしたアルティメットスポーツ 隼にも搭載されていましたが、印象としては、隼のほうがモードを切り替えた時の方が変化が大きく感じました。
GSX-R1000は晴天時であれば、Aモードでも町乗りでギクシャクすることはなく普通に走る事が可能です。街中ではパワーを使い切ることは不可能ですが、3000回転から4000回転ぐらいでシフトアップしていくと、スムーズに加速し、一度6速に入れてしまえば、40kmまで速度が落ちても普通に加速していく事が可能です。
アクセルをゆっくりと開けるとマイルドにエンジンが反応するため、通勤で混み合う都内でもほとんど苦痛を感じる事がありません。ただし少し多めにアクセルを開けると怒涛のように加速し目がついていきません。
最近のスーパースポーツバイクは燃料の噴射を制御するインジェクションの設定などで運転しやすくなっており、サーキット以外の一般的なシチュエーションでも安心して走行可能です。
走る為の最高の一台を所有する喜びを実感しよう
1000ccクラスのスーパースポーツバイクは公道で性能を使い切ることなど到底出来ません。その気になれば300km/hで走行する事が出来るエンジン、フレーム。ハイパフォーマンスブレーキシステムのメーカーとして有名なブレンボのブレーキシステムを搭載し、制動力は折り紙つきですが、単に制動力が高いだけではありません。ブレーキレバーの握り始めの初動はゆっくりと減速し、握れば握るほどしっかりと減速します。握った瞬間にガツンと効くブレーキではない為、町乗りでも非常に使い勝手の良いブレーキです。
コーナリングで旋回姿勢に入れば、ピタリと路面にタイヤが張り付くので絶対的な安定感があり、旋回性能の高さを感じさせます。姿勢は確かに前傾がきつく、慣れるまでは腰や肩が痛くなるかもしれませんが、走行中の加速・減速・旋回など、どのようなシチュエーションでも性能の高さに感動します。
スーパースポーツバイクと言うと敷居が高く感じるかもしれませんが、少なくともGSX-R1000は非常に乗り手に優しいバイクです。ツーリングやサーキットでの走行もきっと楽しいと思いますが、都内の混み合った道を1時間かけてGSX-R1000で通勤していると、いつものバイクでの通勤よりも遥かに楽しく感じました。
乗って楽しいと感じさせてくれたのは、圧倒的なスピードで走っているときではなく、サーキットでの走行時でもなく、ただ町乗りをゆっくりと走行しているときでした。もしあなたがスーパースポーツバイクの性能を扱いきれないと思って購入を躊躇しているのであれば、GSX-R1000はあなたに走行する楽しさ、ライディング時の圧倒的な安心感を感じさせてくれるでしょう。
GSX-R1000のエンジン音 マフラー音 各部詳細はこちらの動画でご確認下さい