産後クライシスの最大の課題はセックスレス
そして、実は大きな課題であると考えられるのが「セックスレス」です。セックスレスになるきっかけのひとつが「妊娠」「出産」です。私も育児雑誌で「産後のセックスレス回避特集」の監修をしたことが何度もあります。袋とじにされるほど具体的&リアルな内容の号もありました。ということは、この時期に悩んでいる夫婦が確実にいるということです。【残念な夫】でも2月25日放送の第7回で、セックスレスの話題をしっかり取り上げていました。ドラマの中では玉木宏演じる陽一がセックスレスであることに危機感を抱き、「壁ドン・顎クイ」で妻を誘うも、様々な邪魔が入ってロマンチックな雰囲気にならない、というシーンが出てきました。
私の周りでは「玉木宏に壁ドンされて、あの美低音ボイスでささやかれたらセックスレスなんか吹っ飛ぶわ♪」などという意見も聞こえましたが、ドラマ同様、実際に、「子供がいるのでその気になれない」あるいは「ベッドの中でも夜泣きの声が聞こえると現実に戻されてしまう」というのは「あるある」なお悩みなのです。
また、玉木宏の演じる陽一のように、「セックスレスな状態に危機感を感じて妻を誘ってくれるなんて、『残念』どころか『優秀』な夫じゃない?」という意見も聞かれました。
実際、最近の傾向ではセックスレスの原因として夫に性欲も危機感もない、というカップルが多いですから、とにかく妻を誘おうとしてくれるだんな様のほうが数倍グッドであることはたしかでしょう。
セックスレスは、産後クライシスでの根深い問題
セックスレスの問題の怖いところは、これが産後だけに限らず、その先にも継続する可能性があることです。・赤ちゃんのお世話が大変、
・ホルモンバランスが崩れて辛い
・夫の育児に対する意識のなさ
などは、子供が成長していくにつれだんだん負担が減っていったり、理解が深まったりします。どんなに夜泣きをしていた子供でも2歳を過ぎればよく寝てくれるようになります。
これらの「時間がたつことで解決してくれる課題」と違い、セックスレスの課題は時間が解決してくれることはありません。セックスレスが長くなればなるほどセックスしないことが当たり前になり、余計に相手を誘いにくくなり……と問題は根深くなるばかりです。
セックスレスを改善するうえで大切なことは、夫婦間でセックスの話題を軽んじたり、無視したり、避けたりしないこと。セックスが夫婦の生活を構成する重要な部分であることをしっかり認識することが大切です。そのためには、まずは、夫婦間でセックスの話題が口に出せるような関係になっておきましょう。
たとえば今回のような夫婦に関するドラマを一緒に見ることも、夫婦の間でセックスの話題をしやすくなるきっかけになるでしょう。「こんなわけないよね」と脚本に突っ込んでみたり、主人公の陽一の失敗に大笑いしてみたり、妻の知里のせつない気持ちにほろりとしてみたり……。ドラマに共感しながら、まずは劇中で取り上げられる性的な話題について、夫婦で気楽に話せるようになることが最初の目標です。
そして、たとえセックスレスになってしまったからといって、セックスの行為そのものにこだわりすぎないのも大切です。私の持論は『セックス=挿入ではない』ということです。スキンシップやマッサージのコンタクトをするだけでも、もちろんOKです。セックスを夫婦のコミュニケーションの一つと考え、どのような形が、二人の心を満たす関わり方になるかを二人で見つけていくことが重要です。女性は性欲だけでセックスレスに悩むわけではありません。パートナーに求められているという意識を持っていたいのです。
この原稿を書いている時点では、【残念な夫】は、次週に陽一の浮気疑惑問題がが明らかになりそうな展開で、まだまだ予断を許しません。果たして主人公の二人がどうやって産後クライシスを乗り越えるのか、今後のドラマの展開にも注目したいと思います。