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中華アンプと自作スピーカーでPCオーディオをつくる(3ページ目)

みなさんは、どんな環境で音楽を聴いていますか? スマホからインナーヘッドフォンで音楽を楽しんだり、本格的なオーディオシステムで鑑賞している人など、さまざまでしょう。今回、注目したのは中国製で主にネットで売られている「中華アンプ」と呼ばれるデジタルアンプ。これを100均の材料を使って小さなフルレンジスピーカーを使って鳴らすという、超カンタンなスマホやPC用の卓上オーディオをつくります。

喜入 時生

執筆者:喜入 時生

インテリア・建築デザインガイド

中華アンプでは裏面の「L」と「R」に注意!

しばらく2、3曲、音楽を鳴らしてテスト。が、「なんかヘンな感じ」がします。なんとこのアンプの左右のスピーカー出力表記「L(左)」「R(右)」が逆だったのです! これは本来、車載用のためなのか不良品なのかは分かりませんが、こんな「落とし穴」があったとは……。
逆相だった

これが逆になっていた「L」と「R」。ま、逆でもヴォーカルはセンターから出ているので気づかなかったりするのですが、やはり妙な感じはしました。このアンプはカーオーディオ用と思われるので、そのせいなのか? 左右の音のバランス(定位)がはっきりした音源(曲)で、信頼できるヘッドフォンなどで左、右を確認しておきましょう。中華アンプ、世話が焼けるけど、かなり楽しませてくれます。

この「L、R問題」はケーブルを入れ替えるだけで解決しました。

ですが、まだラジオ配信サービスのアナウンサーの声がキンキンしているし、明らかに低音が足りない感じ。これは「音の好み」なので、なんともいえないのですが、もう少し丸い音にすることにします。

自作スピーカーの本によると「吸音材にグラスウールを入れる」とあります。グラスウールは断熱に使われる建築材料なのでよく知っていますが肌に触れるとチクチクと刺さり痛い、それに入手困難。ですので、手近にあったフェルトを詰めて裏蓋を取り付けます。
吸音材

100均(ダイソー)で椅子の張替え材料として検討用に手元にあった70×60センチのフェルトを適当に切って詰めてみました。ほかにも新聞紙とか固めのスポンジ(ウレタン)なども吸音材になりそう。

裏蓋

フェルトを入れた後、端材の合板で蓋をしました。下に目分量の位置に5ミリくらいの丸穴を開けてケーブルを出しました。本来なら赤と黒などのスピーカー用の端子にしたいところですが、ケーブルが抜けなければいいので、内部で強力ガムテープで留めておきました。

吸音材を入れたことは自分としては正解でした。ロー(低音)からハイ(高音)まで、バランスよく鳴ってくれる! 

また、この中華アンプには「BASS(低音)」「TREBLE(高音)」の音域をイコライジングできるので、音がキンキンしているときは手元で高音を絞ることができます。

完成! でも何か腑に落ちないものが……

カンタンで安い卓上オーディオができ上がりました。実際、PC脇に70センチくらいの幅にスピーカーをやや内向きに置き、下に1センチくらいのゴム板を敷いて、いろんな音楽を聴いてみましたが、それぞれの音域・低位のバランスがよくて、私はとても気に入っています。

完成!中華

アンプは筐体をシンプルに、ツマミ類も変更したいと考えていました。でも垢抜けないグラフィックやチープな外観も可愛く感じてきます。スピーカーも木目を生かしたビビッドな色のステイン仕上げも考えましたが焼印も含め「枡」のままにしました。じつは「SUPERBASS」は効かないしパワーを切っても通電しているというトンデモ商品。でもパワーはすごいので電池駆動など徐々に改造する予定。

でも私には「いい音」が、万人にとって「いい音」ではないですよね。ヴォーカルなどの中音域が好きな人、風圧を感じるほど超低音が好み、あるいは、いわゆる低音域と高音域が強調された「ドンシャリ」といわれる音が最高という人もいるはず。
ウィンイコライザー

Windowsのイコライジング画面。かなり細かく音質を設定することができますが、「サラウンド」とか「スタジオの音質」、それに細かいビットとかヘルツとかよく分かりません。低音はかなり変化しますがスピーカーに合わせると、ヘッドフォン装着時にヒドイ音になったりするので注意!

そして、この中華アンプの「右」「左」が逆だったことは、定位・ステレオ感について考えさせられました。今のポップスなどは、あまり定位を感じさせないものも多いようです。

実際、私は2センチくらいのスピーカーの小さなラジオから流れるチープな音も好きですし、ハイファイの装置でも隣の部屋から流れてくる音楽は定位感がなくて、まろやかで気持ちいい。

そんなことを考えていると、サウンドデザインをされている方々やオーディオ愛好家の耳のよい方には申し訳ないのですが、よく言われる「音の再現性」には、そんなに意味はないのでは? と思ったのです。


次のページでは音の情報量、そしてインテリアと音楽について考えます

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