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カジノの胴元が“事実上”絶対に損をしない3つの理由(2ページ目)

日本におけるカジノ解禁に関して様々な憶測が飛んでいる。先週も一部メディアにより、まだ決まっていないはずの誘致先として特定の自治体名が報じられたが、そうした情報が飛び交うたびにカジノ関連企業の株価が上昇する。それはマーケットにおいて、カジノ事業がほぼ確実に利益を上げると認識されているからだ。カジノゲームそのものはギャンブルだが、それを事業とする企業が儲かると言われる仕組みとはどんなものか。

松井 政就

執筆者:松井 政就

社会ニュースガイド

1.ゲームに組み込まれた控除(ハウスエッジ)

「ルーレット」で説明しよう。

ルーレットとは、赤と黒に色分けされた1から36までの数字に「0(シングルゼロ)」または「00(ダブルゼロ)」を加えた数字が書かれた回転盤(これをウィールという)を回し、投げ込んだ玉がどの数字に落ちるかを当てるゲームだ。

(※0と00が追加されたものがアメリカンルーレット、0のみが追加されたものがヨーロピアンルーレット)

どちらのタイプでも数字を的中させれば、賭け金の「36倍」が払い戻されるが、これは元々1から36までのうちの1つを当てる確率が36分の1という考え方によるものだ。

だが、例えばアメリカンルーレットの場合、数字の個数は1~36に0と00を加えた38個であるため、当たる確率は38分の1であるが、配当はそれより低い「36倍」。つまり確率と配当との間に「38分の2」=「約5.26%」のギャップが生じる。

これが胴元である「カジノ側の取り分」となっている。

こうしてゲーム自体にカジノの取り分が組み込まれているため、結果が仮にイーブン(引き分け)だったとしても、控除の分だけカジノには利益が生まれるというわけだ。

さらにそれを確実にするのが次の点だ。


2.大数の法則

「大数の法則」とは、同じことを繰り返せば繰り返すほど、結果は理論的確率(理論値)に近づくという数学的事実のことだ。

例えばコイン投げをした場合、表が出る確率も裏が出る確率も理論的には2分の1。これを「理論値」という。

ただし、たった数回投げただけでは片方ばかりが続く「偏り」が発生する。しかし100回、1,000回と膨大な回数を繰り返していけばやがて偏りは吸収され、結果は最終的に2分の1(理論的確率)に限りなく近づいていく。それが「大数の法則」だ。

カジノは何万人という客を相手に、何百万回、何千万回という膨大な数のゲームを繰り返す。そのため、個々のプレイヤー相手では部分的に負ける場合があったとしても、「大数の法則」により、全体の結果は理論値に限りなく近くなり、ゲームに組み込まれた控除の分だけ、確実に利益を上げられるというわけだ。

つまり、「控除」によるカジノの取り分を「大数の法則」がより確実にする関係となっている。


「コンプ」や「VIPサービス」

さらにダメ押しとも言えるような仕組みがカジノにはある。それが「コンプ」「VIPサービス」だ。

「コンプ」とは、ゲームに賭けた総額のうち、控除額に該当する額の何割かを無料食事券や部屋代として還元するサービスのことだが、実はこれが意外な落とし穴になる場合もある。

最近では、あと幾ら掛ければどんなコンプがもらえるかを調べられるカジノもあり、コンプ欲しさにゲームを続けてしまうことがあるからだ。

ゲームを続ければ大数の法則により、カジノの儲けはますます確実になる上、負ければ客はさらにお金を使うことになる。

それは富裕層向けの「VIPサービス」も同じである。部屋はデラックスで観光やショーなども担当スタッフが手配してくれる。行き帰りの飛行機チケットも無料にすることや、プライベートジェットを飛ばすこともある。まさに至れり尽くせりだ。

しかしこれも、客が何千万、何億という「大金」をカジノで賭けることを前提とし、最終的に得られる儲けを前倒しでサービスするものだ。

むろんカジノはVIPに気持ちよく滞在してもらえるように努力するが、それはもちろんVIPに気持ちよく「大金」を使ってもらうことが目的だ。

以上を代表とした方法により、カジノは確実に収益を上げられる構造となっている。

日本でカジノが解禁された場合、同様の仕組みが採用されることが予定され、事業としての成功はほぼ保証されていると言ってよい。カジノ事業にマーケットが熱い視線を送るのは、こうした事情が理由である。
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