リバランス時の売買割合はどう計算するの?
ほどよく資産分散されたポートフォリオは、リバランスによってリスク管理できる
そこで運用中は自分の保有資産割合を定期的にチェックしていくことが大切です。当初の割合からずれていたら、割合の膨らんでいる資産を売却し、割合の縮まっている資産を購入することで当初の配分に戻します。この作業のことを、リバランスといいます(詳しくは「投資信託で大事な管理「リバランス」とは」をご参照ください)。
リバランスの目的や意味はよく知られてきていますが、「いざリバランスをしようとするとどの商品をいくら分売買すればよいのかわからない」という声をよく聞きます。そこで今回は、リバランスをおこなう時の売買割合を確認する手順をご紹介しましょう。
まずは資産ごとに何%の調整が必要かを確認
国内債券・外国債券・国内株式・外国株式の4資産に均等に分散投資したとします。当初の資産配分はそれぞれ25%ずつ。それが今では、国内債券20%、外国債券24%、国内株式27%、外国株式29%に変化しているとしましょう。当初の配分にリバランスするためには、どの資産をどれくらい売買すればよいでしょうか。まず、資産ごとの割合を何%ずつ調整すればよいかを書き出します。下の表の数字となり、当初の25%ずつの割合に戻すには、割合の大きくなった国内株式と外国株式をそれぞれ2%、4%分の売却し、その代金で割合の小さくなった国内債券、外国債券を購入してそれぞれ5%、1%分を増やすということになります。
売却する資産の売却割合を計算する
次に、割合の大きくなっている資産、つまり売却すべき資産のうちの何%を売却すればよいのかを計算します。売却すべき資産の売却割合は、上記で確認した必要な調整率をその資産の現在の保有比率で割って出します。よって国内株式は7.4%分、外国株式は13.8%分を売却すればよいということになります。投資信託を売却する際に売却口数を指定する場合は、保有している口数にこれらの割合を掛けた口数を指定して売却注文を出せばよいわけです。
購入する資産の購入割合を計算する
次に、その売却代金で割合の小さくなっている資産つまり購入すべき資産を何%ずつ購入すればよいのかを計算します。売却代金は、国内株式が11万円(149万円×7.4%)、外国株式が22万円(160万円×13.8%)、合計33万円です。この代金で国内債券、外国債券をどういう割合で購入したらよいかは、売却代金合計額の資産全体における割合をもとに計算します。売却代金合計額は資産全体のうちの6%なので、購入する資産に必要な調整率をその6%で割って出します。
上記の計算から、売却代金33万円のうちの83.3%つまり275,000円で国内債券を購入し、16.7%つまり55,000円で外国債券を購入すればよいということになります。
これで4資産の保有割合が元の25%ずつにほぼ戻り、リバランスが完成します。
実際のリバランスにはタイムラグやコストも
実際のリバランスではこのように元の割合にほぼぴったり戻せるわけではありません。売買にタイムラグが生じたり、申込み手数料、信託財産留保額、税金も差し引かれるためです。リバランスにかかるコストや税金は、ノーロード投信を利用したり、NISAや確定拠出年金制度を活用したりすることで抑えられます。また、今回の例のように運用資産の中で売買してリバランスするのでなく、新たに資金を投入して割合の小さくなった資産を買い足してもリバランスは可能です。その場合は売却が伴わないので、課税口座における売却益への課税や信託財産留保額の負担をさけられます。
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