「結婚と恋愛は別」と声を大にして言う女性たち
ここ5,6年、妻たちの家庭外恋愛が止まらない。以前、平日昼間の喫茶店で銀座の街を見下ろしながら、「この中で不倫している奥さ~ん!」と叫んだら、どの程度の人がぎくりとするだろうと考えたことがある。おそらく半数近くが一瞬、内心どきっとし、だが声の主を探すこともなく知らん顔して歩き始めるのではないだろうか。結婚と恋愛は別物?
しかも、それをさほどいけないこととは考えていない。
「家庭に仕事とセックスは持ち込まない」
「家庭と恋愛は別」
「万が一、夫に疑われても、絶対に不倫していることは認めない」
これらは、恋愛している妻たちがよく口にするセリフ。数十年前に、男性たちがよく言っていたことである。
妻たちが恋愛に走る原因は、おおまかに分けるといくつかある。それらが複合していることもあるが。
1. 夫とのセックスレス。それによる女としての自信喪失。
2. 年齢による女としての焦燥感
3. これぞ「運命の人」と思える人と出会ってしまったこと
この3つが主なところではないだろうか。
「女」を取り戻した喜び
セックスしていようがいまいが女は女、恋をしていようがいまいが女は女。確かにそうだ。わざわざリスクをしょって不倫などしなくても、幸せな家庭の奥さんでいればいいと言う向きもあるだろう。だが、女性は(男性もそうかもしれない)、恋することで自分が女であることを実感する。そしてそれによって、自分が何者であるのかも認識するようなところがあるのだ。
「恋愛しようと思ってしたわけではない」
婚外恋愛中の女性たちは、みんなそう言う。
「夫とは下の子が生まれてから、ほぼ18年セックスレス。そんなものだと思っていたけど、40代も後半になると、本当にこれでいいのかとせっぱつまった気持ちになってきて。このまま老いたくない、女として誰かに無条件に愛されてみたい。そんな思いがだんだん強くなってきたんです」
リョウコさん(仮名=46歳)はそう言う。心にそんなベースがあるところに、パート先で知り合った3歳年下の男性がするりと滑り込んできた。最初はただの同僚だった。ふとしたことからプライベートな話をするようになり、たまたまランチのとき食堂で隣り合わせになった。待ち合わせて飲みに行き、互いの気持ちが止められなくなった。
「彼は奥さんにセックスを拒否されていると言っていました。お互いに、配偶者と仲が悪いわけではないけど、セックスしてない。家庭はそんなものだとあきらめていたのに、そして自分の『女』の部分も封印してきたつもりだったのに、彼と話しているうちに、この人ともっと近づきたい、もっと知りたい、触れたいと気持ちが変わっていきました。15年ぶりのセックスは怖かった。でも彼が入ってきた瞬間、ああ、私はまだ女だったんだ、女でいてよかったと心から想いました」
このあたりの感覚は、女性ならではのものだと思う。セックスレスが長かった人ほど、このときの喜びは何にも代えがたいほどだと口を揃えて言う。
>>恋は恋として大事にしていきたいという妻たち