精密な機械として一体となったようなフィール
2ペダルになったがゆえ、乗り心地がマイルドになった気分にはなる。けれどもその実、ビシッの張りのある硬い板に乗っているソリッド&フラットなライドフィールは、GT3ならでは、だ。乗り心地が悪い、硬いという次元ではない。ただ、ショックを瞬時に吸収し、できるだけ車体を動かさず、路面の情報だけをダイレクトに伝え、ただただ滑るように、そしてある意味滑らかな硬質感をドライバーに感じさせつつ、走る。それを、硬いと感じたり、人によっては悪いと感じるが、新しいGT3の乗り心地は、ボクにとって、“イタ気持ちいい”部類のものだった。両のウデと、ステアリングホイール、ステアリングギアボックス、そしてタイヤ&ホイールが、まるで、ひとつの精密な機械として一体となったようなフィールもまた、GT3に特有だ。スポーツカーとして第一級の911カレラであっても、そこまでの融合感はない。そして、動きはシビアでシャープ。遊びがない。ダイレクト。自信を持って曲がっていけるのは、タイヤの接地フィールが素晴らしいから。シャシーがよく仕事をしているし、仕事を促すボディも強い。
圧巻は、マニュアルモード、パドルシフトを使っての全開加速だった。9000回転までキレイに回る。恐ろしいまでの伸びで、パワー感もほとんどドロップしない。そして、これぞ正に電光石火のシフトアップ! さすがに、9000回転域でのシフトアップを繰り返すなんて“犯罪行為”はできないが、富士スピードウェイで試乗したときのことを思い出して書けば、アクセル全開とシフトアップが楽しくてたまらないクルマであったことは、間違いない。