新型ポルシェ911GT3は、走り出した瞬間からやっぱり“GT3”
2000万円のスポーツカーを指して、そんなことを言うのはどうかとも思ったが、やっぱり言おう。コイツは、今、最も刺激的でコストパフォーマンスの高いスーパーカーだ、と。GT3という名前に憧れるポルシェファンは多い。ポルシェファンでなくとも、高性能モデルの証として、その名が通っている。もっとも、生粋のGT3マニアにとっては、新型991のGT3は、物足りないものに、当初は映っていた可能性が大きい。
なぜなら、過去のGT3とは違って、エンジンはシリーズラインナップの同系統の直噴フラット6(過去のGT3は、所謂GT1クランクケース付きで、ノーマルとは別物のエンジンとされていた)で、なおかつ3ペダルMTではなく、ついに2ペダルPDKを採用していたからだ。
GT3の堕落。
911を極めたマニアな乗り手であればあるほど、そう思ったに違いなかった。
あいにく、筆者にはそこまで911ファナティックではない。過去のGT3は、どれもこれも刺激的で楽しいモデルだと思ったし、自分でも欲しいと思ったことは一度や二度ではなかったが、その快感を生み出す理由をすべて、GT1クランクや3ペダルMTに求めることはできない、と思っていた。
だから、新しいGT3にも、ニュートラルな気持ちで乗り込むことができたのだ。
そして、案の定、新型GT3は、走り出した瞬間から、やっぱりGT3に相違なかった。