女子的な寿司に必要なこととは?
寿司というのは実は女性にとっては食べにくい部類に入るのではないかと思っていて、回転寿司などちょっと大きめの寿司を一口で食べるには大きな口を開けなければいけないし、口の中いっぱいに寿司を頬張るというのも女子的にはよろしくなさそうだ。かといって、1貫のにぎり寿司を半分に噛み切って食べるというのもマナー違反な気がして気が進まない。いたいけなレディにはやっかいな食べ物なのである。だが、こちらで提供している寿司はプチサイズの一口寿司。これまで寿司を食べる姿を異性に見られるのに抵抗があった女子にも受け入れられるはずだ。
店のカウンターにはこれまたプチサイズな前菜が並んでいる。「北海道産いくらと大根おろし」、「クリームチーズと酒盗」、「まぐろアボカドバジルマヨ」など9種類の前菜が好みでテイクできるという仕組み。料理が来るまでの待ち時間にうれしいサービスだ。ここまでプチサイズに徹底するというのはいかに女性を意識しているのか、その姿勢がうかがえる。
寿司の弱点といわれる「サラダ」にも抜かりはない。土壌にこだわって作られた根菜をたっぷりと使った「ごろごろ野菜のサラダ」が秀逸。歯ごたえ、彩り、味の三拍子に加え、こだわり農園で作られた安心・安全なサラダなのである。
ディナータイムにはウエストコーストにあるようなハイセンスなSUSHI-BARへと変貌する。肉と魚のアラカルトには500円から1180円という手ごろな値段の一品料理が並び、寿司以外のメニューも豊富。アルコールとアラカルトが手軽に味わえるカジュアルダイニングとしての側面も持っている。
なぜ、このような店舗が可能になったのか?その最大の秘密は、回転寿司で磨かれた厨房オペレーションを、作業単位に分解し、転用できるものを上手く「ツマミグイ」に持ち込んだからではないだろうか?
本来、職人がかかりきりで行う調理でも、持ち場を分け、一部機械化を進めることでクオリティを担保しつつ業務効率を上げているのではと想像できる。なるほど、回転寿司と業態は違えど、進化の一つの可能性と捉えてよいだろう。
CAFÉが提供する寿司と考えれば、これまでになかった出来栄えであることは間違いない。スシローが手掛けた店、と考えれば、良い意味で期待を裏切られることだろう。
寿司の新時代は女性が握っている……いや、ロール寿司だけに巻いている……のである。