手ぶれとピント幅(被写界深度)を意識する
花はクローズアップで撮影されることが多い被写体です。可憐な花びらや花弁をフレームいっぱいに撮りたくなるもの。そのような近接撮影のときにネックになるのが「シャッタースピード」と「レンズの絞り値」の関係性。
写真の「露出」自体があまり分からないという方のために、簡単に説明しておきますと、レンズの絞り値はピントの合う幅(被写界深度)を変えるものです。ピントの幅を広くしようとした場合、画像を記録する時間であるシャッタースピードが長くなります。シャッタースピードが長くなると、手ぶれが起こりやすくなるというデメリットがあることを、ここではご理解ください。
三脚を使わずにカメラを手持ちでクローズアップで撮影する場合、手ぶれをしない程度のシャッタースピードで撮影したいところです。撮り方や手ぶれ補正機能の性能にもよりますが、少なくとも1/60秒以上のシャッタースピードの設定で撮るのが理想的です。
コンデジなどのオート設定撮影でのマクロモードでは、レンズの絞りは開放値近くに設定されて、シャッタースピードもそれなりの速さで撮影出来る場合が多いです。
ただ、絞りが浅いということは、それだけピントの合う幅も狭いということです。花をクローズアップで撮るときはこの点に注意が必要になります。
狭いピント幅を有効に活かせるポイントを探す
このピント幅が狭いということを意識できていると、花をクローズアップで撮るときには、ピントを合わせる場所が大事ということが分かります。どこをポイントとするかで、写真の見え方が大きく変わるからです。
何気にカメラ任せでピント位置も決めて撮影すると、後でモニターで拡大して見た時に、撮りたかった場所のピントがぼけて写っていたという結果になることがあります。
花のクローズアップを撮る場合は、どの位置にピントを合わせるといいのかを探りながら撮ることが重要になってくるわけです。
花びらの先端にピントを合わせるイメージなのか、奥にピントを入れるのかそれによって写り具合は全く変わります。ここを意識して撮影するだけでも写真のイメージをコントロールすることが可能です。
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