どんなところに学校の良さを感じたのか、知るきっかけはどんなものだったのか、通信制高校の生徒と保護者約3,600名へのアンケート調査の結果から見てみます。
このアンケートは、2014年12月に新しい学校の会(※)が発表した『通信制高校生徒・保護者アンケート調査報告書』(調査期間2014年9月~10月)によるものです。報告書は、18校の私立通信制高校に在籍している生徒2,468名、保護者1,186名、合わせて3,654名からの回答をもとにしています。
マイペースの登校スタイルが一番
通信制への入学の決め手は親御さんからわが子への情報提供から始まります
通信制の登校スタイルとは、週に1、3、5日などの通学、月に1~2回の通学、年間数日間の宿泊や連続登校による集中スクーリングなどを選べるようになっていることです。私立通信制高校の多くが選べる登校スタイルを採用しています。
学校に毎日行くのがちょっと苦手という不登校ぎみの生徒なら在宅学習中心にして登校は少なくしたり、アルバイトや学校以外の活動をしている人なら自分のペースに合わせて登校日数を選べたりできます。このあたりのマイペースでできる学校生活が学校選びの理由になっています。
実は、やりたいことがある?!
上の図で見てもらうように、トップの「通信制の登校スタイルが自分に合っている」に次いで、生徒では「自分のやりたいことに時間を使える」「無理に集団参加しなくてもよさそうだから」という通信制を選んだ理由が続きます。保護者は、「無理に集団参加しなくてもよさそうだから」「通信制の授業内容が自分に合っている」という理由が続きます。
おやっと思うのは、生徒と保護者で通信制を選んだ理由の比重が異なることです。
「自分のやりたいことに時間を使える」という回答に注目してもらうと、生徒は25%がこれを選んだ理由にあげています。ところが、保護者は15%と10ポイントも差があります。
生徒はやりたいことがあり、それにチャレンジしたいと思っているのに、保護者は「うちの子、やりたいことがなさそうで……」というギャップが見られそうです。
「オレ、こんなことやりたい」「あたし、こんなふうになりたい」と思春期にはなかなか照れくさくて言葉にできないことがありますが、保護者はわが子にはやりたいことがあるかもしれないとアンテナを張って見てあげたほうがよさそうです。
次ページでは、学校を選んだきっかけなどです。保護者の頑張っている姿がよくわかります。
(※)アンケート報告書を発表した「新しい学校の会」は、私が事務局長を務めている団体です。会の目的は、多様な教育を実現するために会員相互で協力していきましょうというものです。