子どもが嘘をついた! でも親は焦るべからず
子供の嘘はよくあること。頭を抱えるのではなく、それを学びの場にしていこう!
しかし、子供に「正直なのは良いことだよ」を教えるのは親として大事なこと。どうやって伝えていくのが効果的なのでしょう? 今回は、最近、カナダで行われた実験データをベースに、すぐに実践できる活用法をお伝えします。
カナダの実験:子供達は誘惑に打ち勝てるか?
まずはその実験についてご紹介しましょう。この実験は、4~8歳の372人の子供を対象に行われました。子供達は1人ずつ、実験者のいる部屋に案内されました。しばらくして実験者は、「少しの間ここで1人で待っていてね。すぐ後ろにおもちゃがあるんだけれど、のぞいちゃだめだよ」と子供に伝え、部屋を出て行きました。そして1分間、部屋での様子を録画。その後、実験者が部屋に戻るという内容でした。
1人きりになった1分間に、何パーセントくらいの子がこっそりと背後にあるおもちゃをのぞいてしまったと思いますか?
結果は、372人中、251人。67.5%の子がおもちゃをのぞいてしまいました。しかし、その確率は、年齢が上がるごとに低くなり、1人でいる間も実験者との約束を守る傾向が強かったそうです。
また、のぞいてしまった251人の子に、「いない間に、おもちゃをのぞいちゃった?」と直接聞くと、167人(66.5%)が「のぞいていない」と答えました。ここでも、年齢が上がるごとに正直に話す子が増えたそうです。
実験はさらに続きます。
のぞいた真実を告白できない子供達をグループに分け、それぞれ別の説得をしました。
- 「のぞいてしまったとしても、怒ったりしないよ。ただ本当のことを言ってくれたら、とってもうれしいんだ」と実験者の気持ちを伝えたパターン
- 「のぞいてしまったとしても、怒ったりしないよ。ただ本当のことを言うのはとても大切なことなんだ。真実を言うのは正しいことなんだよ」と正論を伝えたパターン
- 「のぞいてしまったとしても、怒ったりしないよ。だから話してごらん」とシンプルに伝えたパターン。
ポジティブな結末を強調することがポイント
- もっとも効果があったのは、パターン1で、65%の子が真実を話しました。
- 次はパターン2で55%の子が打ち明けました。
- もっとも効果がなかったのは、パターン3でした。なおも85%以上の子が、真実を言わずに通したのです。
この実験で分かるのは、何より子供の心を動かすのは、「正直に真実を言うことが、みんなを幸せにするんだよ」という外側へのポジティブな力を含んだ言い回しということ。
この研究でも、
- 真実を言うことがもたらすポジティブな結末を強調すること
- 悪いことをしたら悪い結果が待っているというニュアンスは避けること
著書『輝くママの習慣』に、有名な「狼少年」と「ジョージ少年と桜の木」を用いた「子供の嘘」についての実験結果を載せました。そこでも、「何か悪いことをしたら痛い目にあうよ」よりも、「正直であることは素晴らしいんだよ」とポジティブな結末を強調する方が子供の気持ちや行動を変える力があるという同等の結果が出ています。
子供に嘘をついてもらいたくないあまり、
「嘘はどろぼうのはじまりだよ」
「嘘つく子は嫌われるよ」
などと言ってしまいがちですが、実際に効果があるのは、もっとポジティブな表現。
「ママ、○○くんが本当のことを言ってくれたのがすごく嬉しかったよ」
「自分の間違いを話せてえらかったね。ありがとう」
こんなママの素直な気持ちこそ、子供の心を大きく成長させるのですね。
■参考図書
*出典:Journal of Experimental Child Psychology (2015). 「The effects of punishment and appeals for honesty on children’s truth-telling behavior」より
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