何もしてあげられない。それが親の定め
誰だって、我が子が傷つくところは見たくありません。運動会のかけっこでビリになるところ、中学受験で志望校に不合格になるところ、どれも親の胸を締め付けます。何とか手助けしてやりたい。だからギリギリまでアドバイスとかサポートとかはするけれど、でも最後の最後は何もしてあげられない。それが、親が受け止めなければいけない定めというものでしょう。そして、今年もやってきました。残酷な一日が。バレンタインデーです。私自身、あんまりいい思い出はありません。小学生の頃。意中の子からはもらえず、そうでもない女子からもらっちゃったときの気まずさ。「世の中うまくいかないものだな」なんてことを幼心に感じたかすかな記憶があります。中学生になると、私は男子校に進みましたから、そんな切ない気持ちとは全く無縁になりました。それでもときどき、モテるやつは、他校の女子校生からもらってたりして、「ちぇ、つまんねーの」と思ったものです。
ママと一緒に一生懸命作った手作りチョコ。勇気を振り絞って渡したのに振られたら
「何も聞かない」「何も言わない」
バレンタインデーに我が子が振られちゃったとき、パパはなんと言うべきか。答えは「何も聞かない」「何も言わない」じゃないでしょうか。根拠はありませんけど。いずれ、子供がもっと大きくなって、真剣に惚れた異性から無惨に振られたり、裏切られたり、騙されたりということがあるかもしれません。そんなときやっぱり親は胸が締め付けられるような思いを味わうことでしょう。若かりし自分が、振ったり振られたりしたことを思い出し、そのときの苦々しい感情が蘇ることもあるでしょう。我が子が今、同じ苦しみを味わっているのだと思うと、いたたまれなくなるでしょう。
でも、それが人生です。失恋の苦しさも知らない人生なんてつまらないでしょう。小さなころから淡い恋心を傷つけられる経験を積むことで、振られてもめげないたくましい大人に育っていくのではないでしょうか。人の痛みがわかる大人に育つのではないでしょうか。親はそれを見守ることしかできないのではないでしょうか。子供が傷つき、それを乗り越えるのを黙って見守っていられるように、親も少しずつ成長するのではないでしょうか。パパが、ただだまっていつものように近くにいる。それだけで、子供は安心してくれるのだと思います。
逆に、もし子供が意中の異性と相思相愛であったなら、負けじとママとラブラブしてみたらいかがでしょう。振られちゃうかもしれませんけど。そのときは、子供に慰めてもらいましょう。