ゴルフと遜色ないドライブフィール
結論からいうと、ゴルフと遜色ないドライブフィールを実現していた。アプローチの仕方は異なる(=フランス車らしさ)が、結果的にクラストップレベルの上等な“実用車”に仕上がっている。特に、見映え質感のフィニッシュは、露骨にドイツ車レベルで、これまでのような“ゆるさ”はほとんど見当たらない。インテリアのクローム使いなど、お世辞にもプジョーにお似合いとは思えないのだけれど、これが最新の流行ということなのだろう。
エクステリアのシンプルさは、実にフランスの大衆車らしいセンスだ。でかい口が小さくなって、いっそう目立たぬ風情になった。顔以外は、素っ気ないと思ってしまうほどで、ゴテゴテはシトロエンに任せたということだろうが、実は、こっちの方にフランス的合理精神が息づいていると思う。
そう、これからはもうプジョーを“オシャレさん”呼ばわりするのはやめよう。ルノーやシトロエンはまだユニークで、人によっては“オシャレさん”に映るかもしれないけれど、プジョーは実直路線を歩み始めている。たとえそれがドイツ勢を意識した結果であったとしても…。
乗った印象も、全体的にみれば“カッチリ&スッキリ”系で、ドイツ勢に十分対向しうるものだった。特に、街中や高速道路での日常ユースシーンにおいては、正確にきっちり動くパートナー感覚があって、たのもしい。心の底から、「実用車だなあ~」、と思えたという点でも、これまでのフランス車とは一線を画するように思う。
ただ、最初にも書いたように、最新流行の走り味に至るプロセスが、ドイツ車とは根本的に違っている。端的に言って、そこに楽しさがあるか否か、の違いだ。もちろん、プジョーには“楽しさ”があった。