業界に新風を呼んだ西風「カワサキ ゼファー」
ネイキッドモデルで人気と言えばやはりゼファーシリーズ
様々な車両があるなかで、若年層から高齢層まで幅広い人気をもつカワサキのゼファーシリーズ。車名の「ゼファー」とは英語で「西風」を意味し、川崎重工業二輪製造拠点である兵庫県明石市から二輪市場へ吹く新風となる様にとの願いを込めてつけられたそうです。
もともと商標としてのゼファー(ZEPHYR)は、フォード・モーターが自社の自動車用としてすでに取得していたにも関わらず、このモデルになんとしてもゼファーという名を使用したかった川崎重工業は、名称使用権についてフォードとの交渉を行ない、資格を得ました。80年代後半のバイクブームに台頭したエンジンを覆うカウリングが付いたレーサースタイルとは異なり、カウルレスでエンジンが丸見えになる*ネイキッドスタイルの懐古的な雰囲気と無骨なルックスが、幅広い年齢層からの支持を得たのでしょう。
*ネイキッド(スタイル)…エンジン部分がむき出しになっている車両のこと。
1989年に、400ccモデルが発売されましたが、反響が大きくすぐに生産待ち状態になったほど。その状況を受けたのと、国外からの強い要望により、400cc発売後間もなく750cc、1100ccと次いで開発がスタート、1991年に750ccが、翌1992年には1100ccが市場へ送り出され、2009年まで生産されました。(750cc、1100ccは2007年で終了)
生産が終了してもなお人気が衰えない、ゼファーの魅力を探ってみたいと思います。
ゼファーシリーズが今なお愛される理由
1980年代後半のレーサーブームは、性能至高主義。とにかく速さが求められていた風潮の中に、そういうものとは縁のない懐古的なスタイルで投入されたゼファー。それまで空力を考慮されて設計された、まるまるとエンジンを覆うフルカウル車が主流で、ほかの選択肢を求めていたユーザー層がこぞって飛びつき、ネイキッドブームが起こりました。空気でエンジンを冷却する、バイクのベーシックとも言える空冷モデル。400ccについては、免許が16歳から取得できますが、年齢的に少し悪さに興味を持つ思春期時代。週刊少年誌の不良漫画にたびたび登場するバイクは、ゼファーが多かったように思います。「ちょっと悪そうでカッコいい」。が、これまで支持を得てきた理由のひとつでしょう。
それまで、最高速など高性能を突き詰めていた車両に比べ、乗り手が体力のみならず精神力を削ぎながら乗るような厳しさが必要なくなり、ライディングやエンジンフィーリングがもっと気楽に、いうなれば「等身大」で楽しめるようになったことが、ロングセラーとなった要因ではないでしょうか。
加えて、カスタムパーツも多くリリースされ、車両生産が終わった今でも、商品は流通しており、わりと気軽にノーマル+αが楽しめるのも魅力のひとつかと思います。
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