ファミリーカー/家族のためのミニバンレビュー

福祉車両って? 普段使いも快適な最新介護用福祉車両

いまや福祉車両は高齢化社会の拡大に合わせ、デイサービスなど介護施設での送迎用のみならず、高齢家族との快適で安全な移動を可能にした車が増えてきています。価格も100万円台前半~と、パパの通勤用に、ママのお買いもの用に、日常のアシとしてもごく普通に使える車ばかりです。

加藤 久美子

執筆者:加藤 久美子

車ガイド

福祉車両ってどんな車?

セダンの横に車椅子から降りた高齢者がセダンに乗り込もうとしている

セダンタイプの車でも、車椅子から車内に乗り込むのは想像以上に大変

「福祉車両」というと、身体障害者の方の専用装置がついた特殊なクルマというイメージを抱く方も多いかもしれませんが、近年の福祉車両は高齢化社会の拡大に合わせ、デイサービスなど介護施設での送迎用のみならず、高齢家族との快適で安全な移動を可能にしたものが急速に増えてきています。パパの通勤用に、ママのお買いもの用に日常のアシとしてもごく普通に使えます。おじいちゃんおばあちゃんの病院送迎や実家との往復、少し遠出のドライブも快適にこなしてくれます。

それでは、福祉車両について、どんな種類があるか? どこで買えば良いのか?購入時の補助や税金などの減免措置について説明していきましょう!

介護用福祉車両は大きく分けて3種類

乗降を助ける助手席リフトアップシートundefined日産リーフ

日産リーフの助手席リフトアップシート

身体に障害があって普通の車は運転できない方のために改造を施した車も福祉車両と呼ばれますが、ここでは、高齢者を安全、快適に乗せて移動するための介助用福祉車両(以下、福祉車両)を対象にしています。福祉車両には大きく分けて3種類あります。

1.助手席が電動で昇降する車両
「助手席リフトアップ」「助手席スライドアップ」と呼ばれるシートを持つ車で助手席が電動で車の外に出てきて乗り降りを助けます。およその価格はベース車+25~30万円前後。乗用車はもちろん、ミニバンのような車高の高いクルマへの乗り降りには大変重宝します。車椅子を利用している場合も、シートのすぐ横に置けるので移乗も簡単です。

助手席の乗降性を高めた装備は他にもあります。助手席に座って手動(軽い力でレバーを引く)で回転させて体の向きをかえやすくする「助手席回転シート」です。こちらはベース車+約6-10万円前後で、トヨタアリオン、日産リーフなどセダンタイプの車に設定されています。

2.2列目シートが電動で昇降する車両
日産セレナに設定されるセカンドスライドアップシート

日産セレナのセカンドスライドアップシート ミニバンなど車高の高い車への乗降を安全にサポート


「サイドリフトアップ」「セカンドスライドアップ」と呼ばれるシートを持つ車です。助手席同様、2列目シートが電動で車外に出て来る仕様で、車高が高く車内が広いクルマに多く設定されています。価格帯は助手席タイプとほぼ同じです。

また、車の座席がのそのまま介助用の車いすとして使えるモデルもあります。外に出てからの車椅子への乗り換えが不要なのはもちろん、自動車のシートそのままなので座り心地がとても良く、長距離の移動も快適です。

3.車椅子に乗ったままで乗降できる車両
ホンダNBOX+の車椅子仕様車undefinedスロープで車椅子ごと乗り込める

140万円台からの価格で車椅子仕様車がぐっと身近に


リアゲートからスロープを使って、車いすのまま乗り込める車です。介護施設や病院で使われるケースが多かったのですが、2013年にホンダがN BOX+車椅子仕様車(電動ウィンチ装備)を143万円~で発売してから、このカテゴリーの車がぐっと身近になりました。

車椅子に乗ったままで車内を行き来できるので移乗の手間がありませんが、やはり長距離の移動は辛いかもしれません。

福祉車両は高い?

一般の車よりも特殊な装備がついていることから、車両代金はやや高めになります。が、ほとんどの福祉車両には税金などの減免措置があります。助手席が回転するだけのシートを装着した車など対象外の車両もありますが、助手席リフトアップ、セカンドリフトアップ、車いす仕様車などは消費税が非課税です。こちらは、車両購入に関わる税金なので身体障碍者手帳の有無は関係ありません。

このほか障害者手帳を持っている場合は自動車税、自動車取得税などの減免、購入時の助成措置などが行われます。詳しくは購入するディーラーでご確認ください。

福祉車両はどこで買える?まずはレンタカーで試してみるのもおすすめ

自動車メーカーの福祉車両ならベース車両を扱うディーラーを窓口にして、試乗や購入ができます。ホンダのオレンジディーラー、日産のLV認定店などがそう。十分な知識を持った福祉車両専任のスタッフが応対し、試乗車も用意されています。また、実家に帰った時だけ使いたい、両親と旅行に行くときに使いたい、といった「スポット利用」を可能にする福祉車両のレンタカーも、ニーズの高まりとともにどんどん増えています。購入前に1-2日レンタカーを借りて使ってみるのも良いでしょう。

特殊なクルマだからレンタカー料金もとても高額なのでは?と心配される方もいらっしゃるかもしれませんが……大丈夫です!大手のトヨタレンタカーやニッポンレンタカーなどでは基本料金は通常のレンタカーと同じで、さらに、介護保険受給者、身体障害者手帳を持っている方には10%の割引が適用されます。

メーカー各社の福祉車両専用サイトはこちら

○トヨタ
http://toyota.jp/welcab/
○日産
http://lv.nissan.co.jp/index.html
○ホンダ
http://www.honda.co.jp/welfare/
○マツダ
http://www.welfare.mazda.co.jp/
○スバル
http://www.subaru.jp/transcare/
○ダイハツ
http://www.daihatsu.co.jp/friendship/
○スズキ
http://www.suzuki.co.jp/car/with/
○三菱
http://www.mitsubishi-motors.co.jp/heartyrun/lineup.html

※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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