乳歯から永久歯へ 生え変わりのメカニズム
奥の大臼歯2本は生え変わるのではなく乳歯列の後方に追加で生えてきます。しかし、手前の切歯、犬歯、小臼歯5本が上下左右分(=20本)は、乳歯の下から永久歯が乳歯を押し出すように交換されて永久歯への切り替わりが始まるのです。生え変わりの時期は顎が成長を始める6歳頃にスタート。第一大臼歯が萌出し、その後数年をかけて前歯の生え変わりと第二大臼歯の萌出により中学生くらいまでに完成されます。
永久歯が萌出する際に上に生えている乳歯の歯根を溶かす為、骨の支えが無くなり抜けていく。これが乳歯と永久歯の生え変わりのメカニズムです。
以前の記事でも乳歯と永久歯の関係について述べさせて頂いておりますので、そちらも参考にされてください。
足りない永久歯を補う方法
さて、冒頭でもお話致しましたが本来有るはずの永久歯が足りずに乳歯のまま成人を迎えるケースが有ります。先日次のようなケースで来院された患者さんがいました。左右の乳歯が2本残ったままの状態。特に右側は歯根が溶けて無いはずですが、前後の歯に挟まって残存している状態です。この状況は歯肉に炎症を起こしたり、前後の歯を虫歯にしてしまうといったリスクを抱えています。
そこで抜歯の提案を致しました。
同時に、抜歯後には下記の5つの選択肢が有ること、そしてそれぞれのメリット、デメリットもしっかりと説明しました。
- 入れ歯
- ブリッジ
- 歯科インプラント
- 歯牙移植
- なにもしない
1の入れ歯はクラスプというバネを前後の歯にかけて安定させます。他の天然歯への負担や口腔内の違和感が大きく審美的にも影響が出る為、1本の欠損で選ぶ人はほとんどいらっしゃいません。
2のブリッジは名前の如く、欠損部に人口の歯で橋をかけて3本の歯をつなぎます。欠損部には歯根が無い為、土台になってる歯が本来欠損部に掛かるはずの咬合力を過剰に負担し、健康な歯を削ってしまうというデメリットがあります。
3の歯科インプラントは前後の歯に悪影響を与えることなく、欠損部のみを補うことができます。両サイドの歯を削ったり等で他に痛い場所を作らない唯一の方法です。ただし人工歯根であるため、術者の治療技術や経験によって結果が大きく左右されてしまいます。
4の歯牙移植は失った歯のサイズと移植する歯のサイズが適合しなければなりません。例えば、歯根未完成の親知らずを臼歯に移植するなど両者のサイズが合えば成功率が高いと思います。
5は前後の歯が倒れてきて、欠損部と本来咬みあうはずの上の歯も伸びてきますので咬み合わせが崩れてしまいます。口腔はたった1本の欠損を放置したために全体の咬合バランスが崩れるデリケートな組織なのです。
以上を踏まえ、20代のこちらの患者様は3の歯科インプラントを選択しました。
治療の流れ
切開し歯肉を剥離する部分を最小限に抑える低侵襲オペで時間短縮と患者さんへの負担軽減。術後の回復も早まります。- 平成27年1月8日 初診
- 平成27年1月14日 抜歯
- 平成27年1月27日 インプラント埋入
まずは検診からはじめませんか?
ある程度年齢を重ねてくると、自分の乳歯がいつ生え変わったのか、全て生え変わっているのか覚えていない方の方がほとんどではないでしょうか?先日も初めての検診でいらっしゃった30台の患者さんに乳歯が残ったままで有ることをお伝えすると、とても驚かれていました。まずは、自分の口腔内がどのような状態なのか、そして適切な対処法を医師から提案して貰うこと。そうすることにより、口腔内の健康維持と楽しい食生活の維持が出来るのです。