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狭小住宅の満足度を左右するカギは2階の浴室にアリ!?(2ページ目)

敷地が狭い上、隣家との兼ね合いなどから様々な制約を抱えがちになる狭小住宅。今回は実際にそれに暮らす方々が、「こっちの方が良かった」という調査から、狭小住宅のあり方に迫ります。キーとなるのは2階に浴室を設置するということでした。

田中 直輝

執筆者:田中 直輝

ハウスメーカー選びガイド

なぜ、1階浴室プランの方が一般的で2階浴室プランの方が少ないのか。それは、住宅供給者側の都合が関わっているように考えられます。具体的には、2階に浴室を持ってくるケースでは、施工費用が高くなり、さらに施工ミスが発生した場合、おおごとになるからです。

なぜ、2階に浴室を配置するプランは少ないのか

施工費用については、浴室を2階に置くのより1階に置いた方が、職人さんの作業量・時間が減りますから、その分工事費用を少なくできます。住宅の価格には、人件費が含まれることを考えると当然ですよね。

家事動線配慮の事例

家事動線に配慮した間取りの事例。キッチンから洗濯スペース、脱衣所、浴室が一直線に配置されることで、動線が短くなり、家事の時間を短縮することができる(クリックすると拡大します)

また、2階に浴室を配置した場合、万一水漏れが発生すると、構造部材に大きな被害を与えかねません。住宅の構造材にとって湿気(水分)は大敵。言葉を換えると、防水工事を念入りに行う必要があるわけです。そうすると施工費用ももちろん高くなります。

構造体の種類や施工の方法にもよりますが、2階に浴室を配置するプランでは脱衣所と浴室の間に段差が生じるケースもあります。これですとバリアフリーではなくなり、使い勝手や安全性を損なうのです。このような背景があって、2階浴室プランが少ないのだと考えられます。

ただ、だからといって2階浴室プランがダメだということではありません。また、1階浴室プランでも、浴室と脱衣所、洗濯機置き場が一体化していて、プラス脱衣所に洗濯物を干せる設備を取り入れておけば、ある程度解決できるでしょう。収納についても、床下収納を設置するなど様々な手法があります。要するに皆さんの生活スタイルをしっかりと検討して、1階の収納のあり方を考えれば解決できる問題かもしれません。

今回の調査結果の意義は、住宅を建築・購入する際に既成概念にとらわれたり、漠然と「素敵」とか感じて決断するのではなく、しっかりと皆さんのライフスタイルを検討した上で、決断を下すべきということなのだと思います。

つまり、「色々な工夫をすれば、もっとより良い住宅になるかもしれません」ということです。2階浴室プランは、その一つの事例なのです。

今や狭小住宅が住宅市場の主役になりつつある!?

ところで、新築住宅の延べ床面積はここ20年で次第に小さくなってきています。国土交通省がまとめた平成25年度の「住宅関連データ」によると、「持家」(注文住宅)の1戸あたりの平均延べ床面積はピークだった平成8年の141.0平方メートルから、平成24年には124.9平方メートルにまで縮小しています。
20年の延べ床面積の推移

持家などを含めたここ20年ほどの、新設住宅着工における1戸あたりの延べ床面積の推移(クリックすると拡大します)

「持家」はピーク時に比べ約16平方メートルほど小さくなっているわけです。これは少子高齢化の進行はもちろん、所得環境の変化などが影響しているもので、新築住宅に占める狭小住宅の割合が高まってきていることが考えられます。

ちなみに「分譲住宅」についてはそれほど大きな変化は変化はありません。この20年ほどのピークは平成13年の98.1平方メートルで、平成24年は92.4平方メートル。分譲住宅は居住面積が価値判断の一つですから、むやみに小さくできないためでしょう。

住環境研究所の調査でも、「持家着工統計をベースにweb調査を反映した結果、延床面積110平方メートル未満の小規模戸建住宅は2004年の31%から2011年には37%に達し、注文戸建住宅市場の4割を占める勢いとなっていました」とあります。

狭小住宅が住宅市場の中で主役となりつつあるかも、ということです。そういえば、我が国の1世帯あたりの平均人数は3人に近づきつつあるともいわれます。だから、「多少狭くても大丈夫」と考えている人が増えてきていると考えられます。

容積率や予算などの問題からやむなく狭小住宅を建てるという方もいらっしゃると思います。しかし、「狭いながらも楽しい我が家」にしたいもの。せっかく高い買い物をするわけですから。

そのために、皆さんには狭小住宅であっても慎重な検討をした上で、より良い住まいとすることを目指していただきたいと思います。
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