肥満・メタボリックシンドローム

あなたがジャンクフードにハマってしまう理由

ハンバーガーやカップ麺、ポテチにコーラにフライドチキン……。ジャンクフードを食べる・食べないは「クセ」のようなものですから、食べない人はまったく食べないのですが、お好きな方にはたまらない。今日はジャンクフードとの上手な付き合い方を考えてみます。

平井 千里

平井 千里

管理栄養士 / 実践栄養 ガイド

小田原短期大学食物栄養学科 教授。女子栄養大学栄養科学研究所客員研究員。女子栄養大学大学院 博士課程修了。名古屋女子大学 助手、一宮女子短期大学 専任講師を経て大学院へ進学。肥満と栄養摂取の関連について研究。前職は病院栄養科責任者(栄養相談も実施)。現在は教壇に立つ傍ら、実践に即した栄養情報を発信。

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ハンバーガーを食べる男性

安価ですぐに食べられるジャンクフード。体に悪いと言われるけれど上手な食べ方はないのでしょうか?

いつも忙しく、お財布事情も厳しくなってきた世知辛い世の中で、安価ですぐに食べられるジャンクフードは非常にありがたい存在になっています。しかし、食べた後にちょっとした罪の意識を感じてしまう、厄介な食べ物でもあります。いったいジャンクフードの何が悪いのでしょうか?
 

ジャンクフードの何が悪い?

「何が悪いって、体に悪いに決まってるじゃん」、そんな声が聞こえるような気もしますが、せっかくの機会ですので「体に悪い」という部分をもう少し掘り下げてみましょう。

ジャンクフードが「ジャンク=がらくた」と呼ばれるゆえんは、その栄養素の偏りにあります。比較的原材料の種類が多いと思われる、ハンバーガーを例にとって考えてみましょう。

バンズ(パン)、ハンバーグ(肉、つなぎの卵、たまねぎ)、レタス1枚、たまねぎの薄切り、ピクルス(きゅうり)、ソース、ケチャップ、マヨネーズ。

見ての通り、原材料にはそこまで体に悪いものは入っていません。材料を安価で手に入る発展途上国から輸入していることから、その由来がはっきりしないという点では不安は残りますが、そもそも「栄養素のバランスが悪い」ことが一番の問題なのです。
 

ジャンクフードに含まれる栄養素を見てみよう

ハンバーガーショップで注文するモノといえば、「○○ハンバーガーセット」という人が多いのではないでしょうか。皆さんおなじみのハンバーガーとドリンク(コーラに代表されるような清涼飲料水)とポテトのセットですよね。このセットの原材料に含まれる栄養素をざっとおさらいします。

パンとポテトが炭水化物、ハンバーグがたんぱく質と脂質、マヨネーズも原材料の半分はサラダ油です。さらにポテトは油で揚げてあります。高カロリーだということは、簡単に想像できると思います。また、重要な栄養素であるビタミンやミネラル(鉄分、カルシウムなど)がほとんど入っていません。これこそが「ジャンク(がらくた)」といわれる理由です。

実は、人間の体というのは不思議な性質を持っています。炭水化物だけ、たんぱく質だけといった単体の栄養素だけを取り込んでも、空腹は解消されません。一方、ビタミンやミネラル等を適度に含む食事はさほどの高カロリーでなくてもすぐに満腹になります。

そのため、ジャンクフードはどれだけ食べてもなかなか満腹になりません。カロリーベースで冷静に考えれば1つで足りるはずなのに、ハンバーガーを2つ食べないと物足りない……、などということが起こってしまうのです。

この食べすぎが「肥満」の元であり、ひいては「生活習慣病」を引き起こす原因になります。

さらに悪いことに、ジャンクフードは概して、濃い味付けのものが多いです。濃い味付けというのは味覚を刺激しますから、美味しく感じるのもムリはありません。人間は一度刺激を覚えると、より濃いものを求めます。これがジャンクフード中毒への入り口となるわけです。
 
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