新窓販国債は5年物も発行中止
お宝社債を紹介
日本の長期金利は史上最低を更新し続けていますが、スイスに至っては10年物もマイナス金利となっていることから、日本の長期金利は史上最低ではなく「過去最低」と言うのが正しいのでしょう。言葉使いはさておき、長期金利を含め市場金利は低下の一途をたどり、また底を打った気配がないことから、安全確実に運用する資金の有利な運用先は狭まっていると言えるでしょう。
幸いにして、原油価格の低下などにより物価の上昇率も低下していることから、ややインフレリスクは低下していますが、日本銀行の黒田総裁は物価の上昇率2.0%を達成するために出来ることは何でもやると言っています。物価の上昇率が低下しつつあるとはいえ、資産運用においては常にインフレリスクを認識しておくべきでしょう。
ソフトバンクの劣後債に注目
新窓販国債は10年のみの発行、個人向け国債は3年固定、5年固定が共に最低利率0.05%、10年変動が0.20%となっています(2015年1月募集分)。買うのであれば10年変動以外は魅力なしと言っていいでしょう。また、個人向け国債はどこの金融機関で購入しても条件は一緒。まとまったお金で購入するなら、キャッシュバックなどがある金融機関で購入することで、少しでも利回りをアップさせる工夫を忘れないでください。債券にとって厳しい状況が続いていますが、2014年11月に続いてソフトバンクが償還期限7年の個人向け社債を発行することになりました。購入は額面100万円からとややハードルが高いものの、利率は2.50%です。
発行総額は4500億円とかなり多く、また7年と償還期限は長いですが利率が2.0%を上回っていることからかなりの人気となることでしょう。募集期間は2015年1月27日~2月6日なので、即断即決で購入する必要があると思われます。
金利が高いので大丈夫と思われるかもしれませんが、今回の社債も「劣後特約付き」の個人向け社債です。劣後特約とは、通常の債券と比較して返済順位が低い代わりに高い利率を支払いましょう、というものです。言葉は悪いですが、万一倒産したら劣後特約付の債券は返済順位が低いことから、紙くずになりやすい債券ということになるのです。
紙くずになりやすい債券ですが、ソフトバンクのビジネスモデルはプロバイダや携帯電話料金が中心なので、景気変動の影響を大きく受けることはないと考えられます。また、社長である孫正義さんの革新的な経営能力を考えれば、有利子負債は高いものの7年という償還期限の間に返済能力の急低下は考え難いと思われます。
固定金利の国債ですが、今後7年間の間に金利が3.0%や5.0%などの水準に急騰することが絶対ないとは言えませんが、日本銀行の異次元緩和が行われている間は低金利が続くと思われます。今回の個人向け社債は2.50%の利率を得られることから、仮に将来的に金利が急騰したとしても、7年間の平均収益に均せば他の債券などに利回りで劣ることはないでしょう。
なお、引受会社は、野村証券、大和証券、みずほ証券、SMBC日興証券、三菱UFJモルガン・スタンレー証券、SBI証券、岩井コスモ証券、岡三証券、東海東京証券です。
個人向け社債の発行は増えつつある
国債の発行状況は厳しい状態が今後も続くでしょうが、個人向け社債の発行は2015年に入って発行に勢いが出てきました。企業は金利が低いうちに資金手当をしておきたいと考えているのだと思います。簡単に触れておきます。
東海東京フィナンシャル・ホールディングス1年物=0.41%、小田急電鉄3年物=0.12%、東武鉄道3年物=0.18%となっています。小田急電鉄、東武鉄道は2015年1月29日までが募集期間ですが、既に完売しているかもしれません。
数は少ないかもしれませんが、お宝個人向け社債の発行が2015年もいくつかあると思われます。情報のアンテナを張り巡らし迅速に動けるようにしておきたいものです。