ストリートトリプルRはスパルタンながら扱いやすい!
モダンなデザインのストリートバイクが印象的なこのモデル、装備重量が193kgと、200kgを切っています。乾燥重量となればさらに軽くなることでしょう。同じストリート仕様を前提としたトライアンフのボンネビルで、乾燥重量が200kgです。クラシックネイキッドとして見ればかなり軽い方ではありますが、乾燥重量だけなら10kg以上の差が出るはず。エンジン性能やオートバイとしての構造など、そもそもの開発コンセプトが異なると、まるで違うオートバイになってしまうのです。ライディングポジションはやや前屈ながらフラットで、しっかりとニーグリップ(両腿でタンクをしっかりと挟み込むこと)してやればほど良い姿勢を保てるライトさ。なので、サーキットやワインディングとは異なり障害の多い市街地の状況をしっかりと観察できる姿勢の維持が可能。好みによりけりだとは思いますが、このぐらいのポジションが体に優しいと思います。
その挙動は、実にスパルタン。さすがはデイトナ675のエンジンだけあり、信号待ちからのスタートダッシュは相当にクイック。そこからギアを上げていくわけですが、3速ギアで時速60~70キロをキープできるので(やや引っ張った状態で、ですが)、操り方を覚えてくればスロットル操作だけで市街地を流し続けられるでしょう。フロントにはニッシン製が、そしてリアにはブレンボ製キャリパーが備わり、十分すぎるストッピングパワーを生み出します。実際に、かなり高い速度域から強めにリアブレーキ(フットブレーキ)をかけてみると、ライディングのバランスを崩すことなくしっかりと制動してくれ、最後にフロントブレーキをかけてピタっととまってくれました。
性能が良すぎて、他のモデルに乗れなくなる?
首都高や環状線では、市街地モードのさらに上の性能を発揮するストリートトリプルR。兄弟モデル ストリートトリプル85よりもスポーティな仕様とされるので、ワインディングやハイウェイを舞台に“攻める走り”を楽しみたい人向けと言えるでしょう。かなりスパルタンとは書きましたが、デイトナ675のようなレーサースタイルではないので、初心者の方にも乗りやすいモデルだと思います。ただ、性能の高さは申し分ないので、これに乗り馴れると他のモデルに物足りなさを覚えるかも。もちろん、さらに上位ランクのモデルはまだまだあるわけですが(笑)。ストリートトリプルRのライバルモデルとなるのは、今話題の ヤマハ MT-09 などでしょう。こちらはストリートトリプルRよりも数キロ軽く、価格もかなりお値打ちです。リサイクルの概念が強い外国バイクは、国産系と違って重い鉄製パーツが多数用いられているので、それが重量差になっているものと思われます。
スパルタンなネイキッドモデルのなかでもこのストリートトリプルRを推す点としては、ブランド力はもちろんですが、なんといってもそのデザイン。日本人とは異なるセンスから生み出された独特のグラフィックは、オートバイとしての味わいにも異国情緒を漂わせてくれます。日本の排ガス・騒音規制は世界一厳しく、全世界向けのセッティングで排出しているトライアンフでさえ、このストリートトリプルやデイトナ675のサイレンサーは本国とは異なる仕様とせざるを得なかったのですが、オートバイを操る楽しさはしっかりと内包していることを今回実感できました。このタイプのモデル購入の際は、ぜひこのストリートトリプルRにも試乗してみて欲しいですね。