国債・債券/個人向け国債の基本

国債に投資する価値を見出すことはできない

預貯金よりも少し高い金利を得ることができた国債。少しでも利息を稼ぐために国債へ投資してきた人、あるいは国債への投資を考えている人は、当面の間、国債が有利でなくなるということを認識しなければなりません。2015年1月募集の国債の利率を紹介しながら、国債が有利ではないことをご説明しましょう。

深野 康彦

執筆者:深野 康彦

お金の悩みに答えるマネープランクリニックガイド

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再追加緩和で長期金利は0.100%台へ?

2014年12月下旬、長期金利は史上最低である2013年4月5日の0.315%を下回り、12月26日には0.300%まで低下しました。年末には若干上昇して取引は終了したのですが、年が明けて2015年。あっさりと0.300%を下回り、1月7日には0.260%まで低下しています。

0.200%台に低下しても底を打った感じがしない長期金利、どこまで低下するかは神のみぞ知るところですが、一部の専門家は0.100%台まで低下するとの予測を出しています。0.100%台に低下しても歴史に刻まれるだけで、私たちが驚くようなことではないのかもしれません。

0.100%台の予測がある要因は、言わずと知れた日本銀行の異次元緩和。2014年10月31日に追加緩和が行われましたが、2015年中にも再追加緩和があるとの予測が専門家筋で増えているからです。再追加があるかは定かではありませんが、長期金利は将来の期待や予測で動いてしまうことから、予測が後退しない以上、長期金利のトレンドは右肩下がり=さらなる低下と考えておいた方がよさそうです。

長期国債の利率は過去最低に

長期金利の低下は住宅ローン金利には朗報ですが、国債の利率に関しては強烈な向かい風です。

2015年1月募集の国債の利率を見ると、個人向け国債3年固定、5年固定は最低低金利の0.05%。10年変動は0.20%となっています。10年変動は、利率が「マイナス方式」から「かける方式」に変更後の最低金利です。

一方、新窓販国債は、2年物は3ヵ月連続募集停止、5年物は1月21日公表予定(たぶん0.10%)。10年物は0.30%となっています。10年物はこれまで0.50%が過去最低でしたが、2015年年明け早々に過去最低利率を0.20%も下回ってしまったのです。

これまで国債の利率は定期預金を上回っていたことから、少しでも利息を稼ごうと思えば、国債へ投資するというのが定説でした。厳密に言えば、メガバンクや地方銀行の店頭表示金利を、いずれの国債も上回っています。3年物=0.03%、5年物=0.03%、10年物=0.10%(いずれもスーパー定期の2015年1月7日現在)。

しかし、上回っているのは最も低い金利を提示している金融機関であって、自由金利の恩恵を受けることができる銀行を選ぶと景色は全くことなるのです。

国債よりも1年物定期が有利

少しでも有利に運用しようと思えば、インターネット専業銀行、あるいは地方銀行のインターネット支店をはずすことはできません。

1年物の好金利と言えば、荘内銀行のわたしの支店のわたしの支店専用定期、香川銀行のセルフうどん支店の超トッピング定期など数行をあげられますが、これらの1年物定期預金の金利は0.40%(2015年1月7日現在)。つまり、個人向け国債変動10、新窓販国債10年物を上回っているのです。

定期預金は1年物なので、満期を迎える(1年)ごとに継続する必要があり、また1年後の金利が0.40%である保証はありませんが、金利が0.30%を下回らない限り不利にはなりません。さらに、満期を迎える(1年)ごとに他に有利なものがあれば預け替えるという選択肢があるのです。

個人向け国債変動10は利率が上昇する可能性があり、また1年経過すれば元本割れせずに解約することができますが、新窓販国債10年は市場での売却になるのです。金利が低下すれば売却益を得られますが、金利が低下した場合、売却しても好金利の預け替え先は皆無となる可能性が高いのです。

逆に金利が上昇すれば、売却時には損失が発生して元本割れとなることも有りえることから、元本割れに耐えられなければ10年間、0.30%という低金利で我慢するしかないのです。

個人向け国債の3年、5年、新窓販国債の5年も0.10%以下の利率でしょうから、やはりインターネット専業銀行や地方銀行のインターネット支店の定期預金を利用した方が有利となるのは言うまでもないことだと思われるのです。

国債へ投資するメリットはほとんどないと言わざるを得ないのです
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