日本もアメリカも、高齢化社会を迎えています。多くの高齢者が通常の住宅に住み続けているのは、日本もアメリカも同じです。ただし、生活上の支援や介護、看護が必要になると、通常の住宅での生活が難しくなってきます。そのために、高齢者向けの住まいを提供する必要が生じます。

高齢者向けの住宅は様々なタイプがあります。主に自立して生活できる人向けのもの、自立して生活できる人を支援するもの、介護が必要な人向けのもの、医療的な支援が必要な人向けのものなどです。それぞれに公的支援が必要な低所得層向け、サービスを受けた人が相応に負担する中所得層、高所得層向けといった分け方もあるでしょう。

日本賃貸住宅管理協会主催のアメリカ賃貸管理業視察ツアーに参加することができました。場所はアメリカの西海岸、オレゴン州のポートランドです。そのツアーの中で、高齢者の賃貸住宅を見学してきました。日本とアメリカでは保険制度や文化的な背景なども異なるため、単純に比較することはできませんが、見学した事例を基に違いを見ていきましょう。

アメリカの高齢者住宅は、アクティブシニアが継続的に元気に暮らせる住宅

アメリカの高齢者住宅は、CCRC=Continuing Care Retirement Communityが多く、自立して生活できる高齢者も介護が必要な高齢者も、そのまま住み続けて継続的なケアが受けられる仕組みになっています。

見学した2物件(Cherry Wood Village、Courtyard Fountains)は、どちらも大規模な賃貸住宅で、コミュニティを形成しています。違いは、Cherry Wood Villageが、自立型と介護型、メモリケア型(認知症などの高齢者対象)の3種類あるのに対し、Courtyard Fountainsは規模が少し小さくなり、自立型と介護型のみという点。認知症などを専門とした高齢者住宅まで併設しているケースは、あまり多くないようです。
外観

Cherry Wood Village 入口

ここでは、Cherry Wood Villageについて紹介したいと思います。リタイアメント・コミュニティと併記されていますが、アメリカには元気な退職者が町のように集まって居住するスタイルが普及しています。分譲の住宅地もあれば、Cherry Wood Villageのような賃貸住宅地もあるようです。

12エーカーというので、約4万8500平方メートル、東京ドームの広さに相当する敷地に、アパートメント(スタジオタイプ、1ベッドルーム、2ベッドルーム)、コテージ、ペントハウススイートといった異なるタイプの住宅があり、自立型は300室、介護型は90室、メモリケア型は38室用意されています。

つまり、入居者は自立した生活ができる高齢者が中心で、要介護になれば介護型へ、認知症などになればメモリケア型の賃貸住宅に移ることができます。自立型の場合は1室に1駐車場(無料)が付いており、車で自由に出入りできます。キッチンで自炊も可能ですが、レストランやカフェで一定のクレジットを購入して食事と交換することも可能です。
レストラン

レストラン

図書室

図書室。定期的に郡の図書館から本を入れ替えている

共用施設としては、映画館や図書室、庭園、プール付きのフィットネスクラブ(指導員4人)、美容院、診療所などがあり、レストランとカフェを含めて地域の住民が利用することもできます。建物内には、居住者用の集会室やビリヤードコーナーなどがあり、エレベーターの脇や廊下の突き当たりには必ず座ってくつろげる社交スペースがあり、カードゲームなどもできるようになっています。

 

フィットネスルーム

フィットネスルーム。隣に屋内プールもある

たまり場

広い廊下には、途中途中にベンチが置かれている。突き当たりにやエレベータ横に憩える社交の場も

入居者は、自らあるいは車いすを使って、レストランやカフェを利用したり、体を動かしたり、カードなどのゲームをしたり、自分の車や施設が用意するシャトルバスで近所に買い物に出かけたり、自分の部屋でくつろいだりと、家庭にいるような暮らしができるのが特徴です。


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