必要以上に吠えさせない
オーストラリアのあるマーケットにて。飼い主さんと一緒におとなしく列に並んでいる犬
そして、必要のない時に吠えることを止めさせるということを飼い主自身がしっかり意識することも大事だと考えています。こと犬好きが集まるドッグランやオフ会、イベント、ペットOKのお宿などでは、お互い犬に理解がある同士なのだから少しくらい吠えても、また少しくらい愛犬から目を離しても許されるだろうという甘えが生まれてしまうケースも目立つようです。
以前、ある犬種のオフ会を取材させてもらった時のことです。場所はドッグカフェでしたが、終始犬たちがワンワンと吠え合い、その声が物凄くて隣の人の話し声が聞き取れないくらいでした。それでも自分のコが吠えているのをやめさせようとする飼い主さんは思ったほどには見られず、逆に、話に夢中になっている様子。オフ会が終わった後、ドッグカフェのオーナーさんにお話を伺ったところ、「正直、吠え声が凄くて参りました。犬連れではない一般のお客さんもいますし、近隣への影響もありますから。これでは犬OKというのはもうやめようかと思います」と苦笑いしながらおっしゃっていたのを覚えています。
犬OKというのは、何をやってもいいという意味では決してありません。ある程度のマナーやルールがあってこそ成り立つものなのです。
無闇に人に飛びつかせない
街を歩いていて突然犬に飛びつかれたら、その人はどう思うでしょうか? 犬好きな人であるなら会話のきっかけになることもあるかもしれませんが、犬が苦手な人であるなら怖い思いをさせてしまうことになるでしょうし、体の大きな犬であると相手にケガをさせてしまう可能性もあります。特に幼い子供や老人が相手となると大きなケガになってしまう場合もあります。相手の出方によっては法律問題に発展したり、治療費を請求されたりといったこともあるでしょう。それが例えば公園だったとして、「だから犬は怖いんだ」⇒「犬の入園は禁止しよう」なんていうことにも繋がりかねない行為であるということは、飼い主として認識しておく必要はあると思います。つまりは、広い目で見れば、飼い主の行為が犬との行動範囲を広めもし、また狭めることもあり得るということです。
犬が人に飛びつく場合、警戒や攻撃などの意味があるケースは別として、多くがその相手に興味がある、かまって欲しい、嬉しいというのが理由になるでしょう。そのコの性格的な部分も影響しますが、飼い主自身が飛びつく癖を強化してしまっていることもあります。
飛びつく姿が可愛いこともあり、つい声をかけたり、撫でたり、何らかの反応をしてしまっている。飛びつかれた時にバタバタと逃げ回ったり、動き回ったりしている。これらは犬にしてみれば、「飛びついたらかまってくれた、遊んでくれた」というふうにご褒美になってしまっていることがあります。結果的に、もっと飛びつくようになってしまっているというわけです。
飛びつかれたら、ばたばた動き回らない、手足も動かさず声もかけない、何か他のことを考えているかのような素振りをしてじっとしたり、蹲るように体を丸めてしまったりします。犬が落ち着いてきたところで「スワレ」と声をかけ、座ったことに対してたくさん褒めてあげてあるのが得策だと思います。犬にとっては「スワレ」や「伏せ」のポーズは次のアクションを起こすまでに若干時間がかかることからも自身をクールダウンさせる効果があるので、しつけを始めたならば、是非とも覚えさえておきたいものです。
なお、褒める時には大袈裟に褒め過ぎると、興奮しやすいタイプのコでは逆にもっとテンションを上げてしまって更に落ち着きのない状態になってしまうこともありますので、自分のコの性格を見極め、興奮しやすいのであれば少し控えめに褒めるようにするのがいいでしょう。
次のページへ。