便利な世の中に潜むこわい落とし穴とは?
お金持ちになるためのお金の流れの管理法
お金を稼ぐ経営者、持続的に成功し続けている経営者をたくさん見てきた小宮さんが語る、「お金持ち法則」を5回にわたってお届けします!(第1回目のインタビューから続きます)
カードを使うこと自体が悪いわけではないが……
いまや都市部はもちろん日本全国の鉄道や地下鉄でパスモやスイカが当たり前のように使われています。そこであえて私が「パスモやスイカに頼っている人はお金持ちになれない!」と言ったら驚かれるでしょうか?とはいえ私もそれらのカードを使っています(笑)。使うことが悪いのではなく、「考えなくなる」ことが問題なのです。たとえば東京メトロの運賃はたとえば丸ノ内線で新宿から大手町まで195円。切符だと端数切り上げで200円です。
カードの方が安いからいい?確かにそうですが、危険だと思うのはカードをかざせば改札が通れるという便利さに慣れて、各区間の運賃に意識が行かなくなってしまうこと。
切符を購入していた時は運賃表を睨み、お金をその場で支払うので運賃を意識していたはず。いまや区間の運賃を知らなくともカードをかざせば改札を通れる。金額が勝手に少なくなったらチャージすればいい。運賃がいくらか、乗り換えがどれくらいになるかなど、ほとんど考えなくとも電車に乗って目的地に着くことができます。
知らないうちに交通費をどんどん使ってしまうという危険もありますが、それ以上に危険だと思うのは「考えなくなること」「思考しなくなること」なのです。
いまの世の中は便利になった分、考えなくてもできること、意識しなくても自然にこなせることが増えてきました。PCやスマホがあれば地図を頭に入れなくても目的地に達することができる。買い物もネットであらゆるものが買える。車の運転なども自動化がどんどん進んでいくでしょう。便利な社会は、実は人の思考力を衰えさせていることに気づかなければならないのです。
便利になるのはいいのですが、それに頼って自分の頭で考えることができなくなる人が増えると同時に、一方ではそのような仕組みやシステムを作る人がいます。こちらの方は逆にとことん考え、試行錯誤し、苦労の末に便利な製品やシステムを生みだしています。
自分の頭を使って便利な仕組みを作り出す人と、何も考えずに便利なしくみに乗っかる人──さまざまな2極分化が言われますが、私は思考力の有無の2極分化こそ、これからの社会の特徴になると考えています。
どちらの方がお金を稼げる人か? 言うまでもありませんね。頭を使って製品や仕組みを作る人のほうが、希少で貴重な人材として収入を沢山得るでしょうし、自ら事業化して大きなお金を稼ぐようになるかも知れません。仕組みに乗る人はその仕組みの中で知らないうちにお金を使わされて、結局いつまでもお金に苦労することになると思います。
世の中の仕組みを論理化、数字化して捉えなおす!
思考力を付けるにはどうしたらいいか? 世の中の便利な商品やシステムにただ乗っかるのではなく、そのカラクリを自分の頭で想像してみる。場合によったらネットでも本でも関連事項を調べてみて、その仕組みや費やされた知恵や努力に触れてみるのもいいでしょう。もう一つは言葉や表現を具体化するということ。論理化、数字化すると言っていいかもしれません。たとえば高いビルを目にしたときに、「高いビルだね」という感覚的な表現ではそこで思考がストップしてしまいます。何階建てのビルなのか? 何メートルの高さなのか? 客観的な数字を必ず加えて表現する。
30階建てで150メートルだと分かれば、他の高層ビルとの高さの比較ができます。また1階当たり5メートルという数字から、かなり余裕を持たせた造りであることが想像できる。すると通常の商業ビルとは違うエンターテインメント的な要素を持ったビルかもしれないなど、思考がどんどん膨らんでいきます。
思考が膨らめば会話のネタも増える。会話が増えればそれだけ新たな情報が得られるし、レベルの高い人とも付き合えるようになるので、さらに思考が膨らんでいきます。
いまの世の中の便利さにどっぷりとつかって、漫然と生きていけばそれでも生きてはいけます。ただしそうしているうちは作られた便利と仕組みの中で流され、思考力を失いながら生きることになります。そこから抜け出して、自らの頭で考え、仕組みやシステムを作り出す側に立つことが、お金を稼ぐ人間になる近道なのです。
★次回は、小宮さんの考えるお金持ちになる人のお金の使い方です
小宮一慶(こみや・かずよし)さん
小宮一慶さん
取材・文/本間大樹