ラインの恵み豊かな文化都市~スイス、バーゼル

バーゼル全景

ライン川の両側に発達したバーゼル (c) Basel Tourismus

スイス北西部、ドイツとフランスの国境に接する地点にある町がバーゼルです。スイス随一の学芸、文化の中心都市として知られ、数多くの美術館や博物館が点在しています。最近ではサッカーの日本代表、柿谷選手の移籍で、「バーゼル」の名前が日本のメディアでも頻繁に登場するようになりました。

バーゼルを拠点に、ドイツの黒い森やフランスのアルザス地方に足を伸ばすのも簡単。ここではチューリッヒ、ジュネーブに次ぐスイス第3の都市として、多彩な魅力にあふれる町、バーゼルをご案内します。


バーゼルでライン川に遊ぶ

ライン川

ライン川は町の人の生活に欠かせない存在 (c) Basel Tourismus

スイスアルプスの山深くからボーデン湖を経て流れるライン川は、バーゼルで90度北に向きを変え、ドイツに入ります。バーゼルはそのライン川の両岸に発達した町。町としての面積が大きい川の南側は「大バーゼル」、小さい北側は「小バーゼル」と呼ばれ、両岸の間にかかる数本の橋を車や人が行き交います。

「小バーゼル」から見る対岸の眺めが特におすすめ。大聖堂をはじめとする中世都市の景観が広がり、ハーフティンバーやバロック様式の家屋も目を楽しませてくれます。

土地の人々にとってライン川は生活なくてはならない存在です。特に夏の間、川辺は日光浴や水遊びを楽しむ人たちで賑わいます。地元の人たちに交じり、靴を脱いで水の中に足を浸してみましょう。

ライン川での遊泳

スイスの人々は水と親しむ術を心得ている (c) Basel Tourismus

地元のスイミング愛好家たちは専用の袋に自分の衣服を中に入れ、身につけて泳ぎます。あとは好きな地点まで川の流れに身を任せだけ。下流から元の場所まで衣服を取りに戻る必要もありません。専用の袋は「ウィッケルフィッシュ」と呼ばれ、は現地の観光局で購入できます。




バーゼルの渡し船

船は地元の人々との自然な交流も期待できる (c) Christof Sonderegger

ライン川の両岸を結ぶのは橋だけではありません。渡し船も体験してみましょう。船には動力は付いておらず、エンジン音はありません。船頭さんが川の流れに合わせて進む方向を調整しながら、静かに対岸を目指します。この原理はもともとレオナルド・ダ・ヴィンチが考案したもので、「ダ・ヴィンチの渡し船」と呼ばれます。乗船時間はわずか4分ですが、時が止まったかのような不思議な感覚に包まれることでしょう。




中世と現代が融合する町、バーゼル

バーゼルの大聖堂

中世において司教は政治権力も握っていた (c) Andreas Gerth

バーゼル観光の中心はライン川左岸に立つ大聖堂で、2つの塔が印象的です。中世ここに司教座が置かれていた関係で、町の紋章には司教杖が描かれています。バーゼルは人文主義者として有名なエラスムスが住んだ町。大聖堂の内部には、その墓碑銘があります。








王宮からの眺め

遠くドイツの黒い森も視界に入る (c) Basel Tourismus

大聖堂の後陣は、「王宮」と呼ばれるテラスに面しています。昔ここに建っていた豪華な司教館にちなみ、名付けられました。テラスから眼下を流れるライン川と対岸の街並みには、思わず息を飲むことでしょう。

大聖堂を訪れた後は、バールフュッサー広場、フライエ通り、マルクト広場、ラートハウス(市参事会館)など、旧市街を歩いてみましょう。半日ほどあれば、主要な観光スポットは徒歩で見て回ることができます。

ホテルの数は約50軒。通り過ぎるにはもったいない町なので、少なくとも1泊はしたいものです。大型の見本市開催期間はホテルもかなり混雑するので、注意が必要です。


スイス随一の文化都市、バーゼル

バーゼル市立美術館

美術愛好家必見のバーゼル市立美術館 (c) Basel Tourismus

バーゼルの人口は約19万人。スイス第3の都市とは言え、日本では大きな町とは言えないかもしれません。しかしバーゼルでは、美術館と博物館は合計40を数えます。その代表格が、バーゼル市立美術館。その歴史は17世紀に遡り、民間の公的な美術館としては最古のミュージアムです。ホルバインやヴィッツをはじめ、幅広いジャンルと時代の作品が一堂に会します。

バイエラー財団(美術館)も見逃せません。ゴッホ、セザンヌ、ピカソなど後期印象派から現代アートまで揃っています。この他、紙の博物館、建築博物館、民族文化博物館など、テーマ博物館も充実。博物館めぐりだけで、たっぷり一日はかかってしまいそうです。

建築に興味がある人にとっても、バーゼルは魅力溢れる町です。例えばヘルツォーク&ド・ムーロン。2008年北京オリンピックのメインスタジアム、通称「鳥の巣」を手掛けた建築家ユニットで、シグナル・ボックス、機関車車庫、シュッツェンマット集合住宅など、時代を先取りする作品を市内各所に残しています。

この他にも、マリオ・ボッタ、フランク・オーウェン・ゲーリー、リチャード・マイヤーなど、数多くの著名な建築家がバーゼルにその作品を残しています。例えば街中で、カフェで、当代一流の建築家が手がけた建物に出くわす……といったことがあるかもしれません。


スイス有数の産業都市、バーゼル

バーゼルとライン川

スイス、ドイツ、フランスの国境が接する三角地点 (c) Basel Tourismus

中世、バーゼルは製紙、印刷業の中心都市として発展しました。やがて宗教改革の波を経て絹織物の製造が盛んになり、染色業が発展。ここから化学、製薬会社が生まれます。ノバルティス、ロシュなど世界的に有名な製薬会社も、バーゼルに本拠を置いています。

バーゼルは重要な国際会議や見本市が開催される地としても知られています。例えばバーゼル・ワールド(通称、バーゼル・フェア)。毎年3月または4月に開催される世界最大級の宝飾、時計の見本市で、世界中から2000を超える出展者が一堂に会します。一般にも公開されているので、興味のある人はぜひ一度は訪れてみたいもの。ただし会期中は市内のホテルはいつも満室になり、チューリッヒなど近郊都市から通う人も出るほどです。

アート・バーゼルも、バーゼルを代表する見本市のひとつ。世界最大の現代アートフェアーで、時代を先取りするアートに触れる絶好の機会になっています。毎年6月に開催されます。


スイス最大のカーニバルも開催

バーゼルカーニバル

普段は冷静な人もこの期間だけは別人に!

年間を通して毎日のようにイベントが開催されるバーゼルですが、中でも一番の盛り上がりを見せるのがバーゼル・ファスナハト(カーニバル)です。灰の水曜日後の月曜から3日間、町全体が鍋をひっくり返したような大騒ぎに包まれます。灰の水曜とは復活祭の46日前の水曜日。例年まだ寒さが厳しい時期に開催されます。

カーニバルはまだ暗い早朝4時にスタート。その後のメインパレードでは、仮面と衣装をまとった一団が、笛や太鼓の音とともに街中を練り歩き、次から次へとやってきます。夜になってもパレードの熱はさめやらず、ますますヒートアップ。カーニバル開催期間中は、この町で「静かな滞在」を期待するのはあきらめた方が良さそうです。

カーニバルは同じキリスト教でもカトリック諸国で行われる行事。バーゼルは宗教改革を経てプロテスタントの町になりましたが、例外的にカーニバルの行事が毎年盛大に行われています。


 FCバーゼル、柿谷選手の活躍に期待!

話題は一転サッカーです。2014年、ブラジルで開催されたワールドカップでアルゼンチンを今一歩のところまで追い詰めるなど、注目を集めたスイス代表。

そのスイスのサッカーリーグ、スイススーパーリーグの中でも群を抜いた存在と呼ばれるのがFCバーゼルです。創立1893年の伝統あるクラブで、2009-10年のシーズンから5連覇を達成中。2014-15の今シーズンも2位のチューリッヒを引き離し、トップを守っています(第17節終了時点)。

柿谷曜一郎選手の移籍もあり、サッカー界でもバーゼルの名が頻繁に登場するようになりました。もし上手く滞在の日程が合えば、応援に行ってみたいもの。現地でのチケット入手は、ホテルのコンシェルジェに聞いてみましょう。


空路、陸路ともに便利なアクセス

バーゼルの町並み

年間を通して観光客とビジネス客で活気に溢れる (c) Basel Tourismus

バーゼルにはユーロ・エアポートと呼ばれる国際空港があります。場所はお隣、フランスのミュールーズにあり、バーゼルから高速道路が繋がっています。ドイツのフライブルグも近いため、「バーゼル・ミュールーズ・フライブルグ空港」とも呼ばれています。空港からバーゼル市内まで約10km、バスで15分ほどです。

バーゼルは列車でのアクセスも便利。市内中央部にはスイス国鉄、ドイツ国鉄、フランス国鉄の3つの駅があり、ヨーロッパ主要都市との間を結んでいます。スイスの主要都市へのアクセスも良く、チューリッヒやベルンまで直通列車が約1時間で結んでいます。






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