自分の部屋はもっと自由に! 「失敗してもつぶれませんから」

――自宅のインテリアを「なんとかしたい」「自分はセンスがない」と思っている人は多いと思います。そうした人たちは、まず、どこからはじめればいいのでしょうか?

「そうですね。たとえば欧米の雑誌などに載っている、イケてるインテリアを『そのまんま』マネる、という方法があります。でも、そのとき気をつけたいのは『カッコイイ部屋だな、好きだなぁ』と思ったら、それの『どこが気に入って好きだと思ったのか?』を、よーく考えることが大事です。そうした作業をくりかえしていると、気に入ったインテリアのなかで暮らすことができるようになるでしょう」
めがねやさん

高橋さんがデザインした銀座の老舗めがね店の落ち着いた内装。店内にラウンジがあります。こうしたユーザーフレンドリーで、住まいのインテリア的なアプローチは、自宅のコーディネートにも応用できそうです。


――「自宅のインテリアコーディネート」について迷っている人に、専門家の視点から助言をお願いします。

「プロがつくったお店でも、デザインの方向性を間違えたり、予算をケチったり、勘違いしたりすると、つぶれてしまいます。お店の徳利に直接かかわるのがショップインテリアです。でも、自分の家のインテリアだったら絶対につぶれません。ですから、安心してインテリアをコーディネートをたのしみましょう」

――お店づくりは経営と密接につながっていろところが、自宅のインテリアとの大きな違いですね。そうした商業インテリアやデザイン全般、そして社会現象を含めて、いまはどんな時代だと高橋さんは思われますか?

「店舗のデザインも、かつて『潮流』と呼ばれたようなものはなくなって、DIYなどに代表される『手作り感』みたいなところで、まったりとしています。作家性を前面に出した凝ったデザインがしたくても、クライアントに『自分のお金でやれば~?』といわれてオシマイ。そんな時代だと思います」
りのべりぐーちゃん

DIYやリノベーションをテーマに、専門雑誌に4コマ漫画も連載中。インテリアデザイナーであり漫画家でもある高橋さん、マルチなクリエーターですね。こんな、いわゆる「萌え系(?)」の絵まで描けるとはオドロキ! ※イラストはクリックで拡大表示します


デジタルツールは「やりたいこと」を明確にして活用しましょう


――そうした「潮流がない」いまのデザイン業界では、発注者と、つくり手側の関係は変化していますか?

「以前は、デザイナーも話がうまくてプレゼンテーション能力が高ければ、クライアントとデザインの方向性を共有できたかもしれません。でも、いまは、そういう時代ではないと考えるのが正しいと思います。でも、私は、そんな状況の中で仕事する方が、燃えて逆にモチベーションが上がります」
吊るされるソムリエ

レストランのワインセラーで、なんとソムリエがワイヤーで吊られて降りてくるという仕掛け。こんなトリッキーで攻めの提案がきるのも、さまざまなテーマパークのアトラクションも設計する高橋さんならでは。さすがに自宅ではムリです……。
 

――デザイン界も、かなりデジタル化が進みました。デザインのプロでなくても、さまざまな表現がラクにできる時代です。いわゆる「デザインのコンピューティング化」について、どう思われますか?

「コンピューターの進化でプリント技術などが向上して、インテリア材料、たとえばカーペットやクロスなどは安価で、おもしろいテクスチュアのものなども出てきています。表現が多様化して選択肢が広がることはとても、いいことだと思います。個人的には、Adobe Illustrator  がCAD的なアプローチを展開するなど、ソフトウェアの進化には、とても興味をもっています」

――たとえば、3Dプリンターをインテリアで活用する、などといったことも言われていますが……。

「でも、そうしたコンピューティング・デザインは手続きの問題でしかない、と私は思っています。つまり、デジタルでもアナログでも『やりたいことと合致するかどうか』という視点で検討することが大切だと考えています」
といれのサイン

チャイニーズレストランのサイン。キントン雲の上に男女マークが描かれています。これはシートの切り文字で、いまは専門業者にデータを発注すればデジタルでカットできるもの。でも高橋さんは自分で切ってDIYしました。「これが、手続きの問題なんですね」ときくと、「そんなおおげさなことじゃなくて、放っておくと既製品のアクリルものが貼られちゃうのがイヤなだけ」と言われてしまいました。


※次のページでは、
二極化するデザイン界のお話、そして高橋さんの好きな椅子や
デザイナーについて、おききしています。