沖縄のパワースポット、那覇と南部エリア
沖縄は、実にたくさんの神様たちがいる場所です。沖縄の人々は、古来より自然の中に神様を見い出し、また中国から伝わってきた風水文化が根ざしているということもあり、現代生活においても、人々はことあるごとに神様へ祈りを捧げ、時には神様の意思に耳を傾けるのが普通です。
御嶽(うたき)へ祈りを捧げ、ヒヌカンと呼ばれる台所の神様を大切にする様子は、いわゆる「ないちゃー」と呼ばれる私のような立場の人間から見ると、彼らの生活がごく自然に神様とともにあることに感銘を受けずにはいられません。
そんな沖縄には聖地と呼ばれる場所が本当にたくさんあります。中には、パワースポットブームにのって急に観光地化されているような場所もありますが、もともとはパワースポットという言葉がうまれるずっと以前から、脈々とそこで生きる人々によって大切に、崇められてきた場所です。
沖縄に“癒し”をもとめて、パワースポットを訪ねる旅を計画する観光客の方も、安易にパワースポットだからという理由だけで訪ねるのではなく、聖地であることを理解した上で訪ねてみると、きっといい意味でそこに宿る“気”に触れることができるのではないかなと思います。ということで、今回は沖縄のパワースポットを、特に那覇と南部エリア周辺からいくつか紹介したいと思います。
栄華を極めた琉球王朝の都、首里
那覇の街を見下ろす小高い丘の上に位置する首里城をはじめ、しばしば首里エリアはパワースポットとして紹介される場所です。というのも、そもそも、この地に首里城が造られたのは、ここが琉球風水的に見て最高の気脈を持つ場所だとされたため。その証拠に、首里城が建設される前から首里には御嶽が点在し、あちらこちらから名水が湧く、気のパワーに溢れた場所として人々の信仰を集めていました。
広福門と奉神門の間には首里城建設以前から存在する首里森御嶽があり、王府の旅の安全を祈願する園比屋武御嶽石門の裏には園比屋武御嶽(そのひゃんうたき)が位置します。現在、私たちが訪ねることのできる首里城は沖縄戦で焼失したものを1992年に復元されたものですが、その地には今なお特別な何かが宿っているように感じる、そんな場所だと思います。首里の丘に立ち、那覇の街とその先遠くまで続く東シナ海を眺めていると、栄華を極めた琉球王国の歴史を思わずにはいられません。
金城町の大アカギ
首里城公園の南に位置する金城町は、琉球王朝時代の武家屋敷地帯。今でも当時の姿を偲ばせる石畳が残る場所として知られ、首里城周辺の訪れるべき散策コースとなっています。毎回、首里を訪れるたびに足を運びたくなるのが、金城町の大アカギの木。石畳から路地へ入り、住宅地の奥に自生する推定樹齢200年以上とも言われるアカギの大木です。
大木に隣接して内金城(うちかねぐすく)御嶽がある一帯は古くから聖域として人々に大切にされてきた場所で、一歩足を踏み入れると静寂の中に宿る“気”のようなものを感じる人が多いのではないでしょうか。
沖縄戦で激戦が繰り広げられた首里にありながら、内金城御嶽とこの大アカギの木が焼けずに今に残ること事態が奇跡に等しく、この地に宿るパワーの強さを物語っているのかもしれません。首里に行ったら必ず立ち寄りたくなる、お気に入りの場所です。