家庭内事故が多い浴室と階段には特に配慮を
トイレは通常より幅が広いスペース。こうすることで、小さな子どもの「おトイレトレーニング」がしやすくなります。この建物では一般的な住宅に多い、洗面所と脱衣所が一体化した配置ではなく、それぞれを独立したカタチとなっています。これは来客や家族が入浴中でも洗面台が使えるようにする工夫。脱衣所には涼風機能が付いた暖房器具が天井に。使ってみましたがすぐに暖かくなり、今の時期にはうれしい設備です。
浴室は事故が発生しやすい場所。このため、安全のための配慮が求められます。この建物では、1.25坪タイプの広めのバスユニットに加え、「ほっカラリ床」という暖かみがあり、柔らかな床材が使用されていました。
これは転倒によるケガを防ぐもの。浴室のトビラはチャイルドロック付きで、お湯が溜まった浴槽に子どもが入れないようにするものです。
次に2階に行ってみましょう。まず階段ですが、コの字型のゆったりタイプ。踊り場があることで、万一足を踏み外しても軽傷ですむようにするための配慮です。階段もまた、家庭内事故が多い場所です。
主寝室は広めのスペースが確保されていました。これは子どもが幼い時には、「川の字就寝」ができるようにするための配慮です。
子ども部屋は大空間。子ども部屋が二つ並んでいるカタチです。二人の子どもがいる場合、それぞれが成長し個室が必要になった時に、「リンクストレージ」という取り外しが可能な収納で間仕切ることができます。
2階で興味深かったのは、「セカンドリビング」と呼ばれる洋室が設けられていたこと。主寝室と子ども部屋の間に配置されていました。「子どもが寝入った後、夫婦でリラックスできる空間を」というおち氏のアイデアから取り入れられたそうです。冷蔵庫を置けるスペースもあり、夫婦の会話を楽しむのに良さそうなスペースでした。
子どもに優しい住まい=誰にも優しい住まいを目指そう
さて、大和ハウスの「+Child firstの家」というモデルハウスを見て、強く感じさせられたのが、「子どもに優しい住宅というのは誰にでも優しい住宅でなければいけない」ということでした。例えば、玄関アプローチの設えは、高齢者にとっても有難いものですし、脱衣所の暖房器具はヒートショックを防ぐという意味で、高齢者にも優しい配慮。子ども部屋は、子どもが巣立っていった場合には、これを取り除き大きな部屋として夫婦の趣味の場所などに変えられます。
また、トイレを通常より幅広いスペースとすることで、住まい手が年をとり車いすで生活するようになった時でも、トイレが使いやすくなります。要するに、良い住まいとは子育て期のニーズを満たすだけではなく、10年、20年、30年後の暮らしを見据えるべきということです。このことを是非、皆さんには強く意識していただきたいと思います。
ところで、ここまで読んで「大きな住宅だから色々な配慮ができるんじゃない?」と思われた方がいらっしゃると思われます。実際、「+Child firstの家」は139.15平方メートル(約42坪)と大きめ。ですが、全てを取り入れる必要は無く、必要な配慮を参考にすればいいのです。
例えば、リビングダイニングの出隅に丸みを持たせることなどには面積は関係ありませんから、都市部の狭小建物でも取り入れられる工夫だといえそうです。
吉川美南の「+Child firstの家」は、来年3月末くらいまで公開され、その後、分譲住宅として販売されるとのこと。子育て配慮がある住宅に関心があるお近くの方は、見学されてみてはいかがでしょうか。今後、同様の建物を各地の分譲地に建設し公開するそうですから、そちらも参考にしてみて下さい。