アジアのライバルも結果重視の選手選考を
アジアのライバルたちは、どのような判断を下しているのか。アジアカップを待たずに、世代交代へ踏み出しているのだろうか。過去2大会連続でベスト8に終わっているイランは、ブラジルW杯に出場したベテランをそのままチームに止めている。11月18日の韓国戦に招集した25人には、30歳以上の選手が10人も含まれていた。キャプテンで攻守の要となるネクナムは、遠藤と同じ34歳である。
そのイランと対戦した韓国のメンバーには、34歳のチャ・ドゥリと33歳のカク・テヒが選出されていた。ドイツ人のウリ・シュティーリケ監督はベテランの存在を重視しており、代表からの引退をほのめかしていたチャ・ドゥリを復帰させた。20代後半の選手も多く、現時点での最強メンバーを編成してくる見込みだ。
グループステージで日本と対戦するヨルダンも、世代交代は棚上げしている。11月18日のエストニア戦のメンバーには、30歳以上の選手が5人リストアップされた。元イングランド代表のレイ・ウィルキンス監督も、結果重視の選択を下している。
同じくグループステージで顔を合わせるイラクは、20代前半のプレーヤーがチームのボリュームゾーンだ。若年層の大会で結果を残してきた選手たちを、代表へ吸い上げている。今秋のアジア大会で銀メダルを獲得したメンバーも、数多く名を連ねている。
若いチームを束ねるのは、36歳のベテランMFメフディ・カリムだ。2007年のアジアカップで得点王に輝き、先のアジア大会にオーバーエイジで出場したユースフ・マフムド(31歳)も、10月のテストマッチに招集されている。世代交代が進んでいるなかで、ベテランがチームのまとめ役となっているのだ。
湾岸地域の強豪も、世代交代を急いでいる印象はない。11月下旬にペルシャ湾岸地域の大会で優勝したカタールは、30歳以上の選手を3人招集している。同大会で準優勝のサウジアラビアも、30歳以上の選手を5人含んでいた。
アフリカ勢も現実路線でタイトルを目ざす
ちなみに、アフリカでも来年1月に大陸選手権が開催される。アフリカネーションズカップと呼ばれるこの大会で優勝したチームも、2017年のコンフェデレーションズカップに出場できる。出場各国はヨーロッパでプレーする主力を集め、タイトル奪取を目論む。
先のブラジルW杯で日本を下したコートジボワールは、当時の主力だったGKバリー(34歳)、DFゾコラ(33歳)、MFヤヤ・トゥーレ(31歳)らが、引き続きチームを牽引している。
4年後のロシアW杯を想定したメンバー作りは、もちろん理想的である。しかし、目前の大会で結果を残すことも重要だ。
98年のフランスW杯後に日本代表監督に就任したフィリップ・トルシエも、チームの立ち上げ当初はベテランを起用した。前監督のもとでキャプテンを務めていた井原正巳を、99年6月までチームに加えていた。アギーレ監督の現実路線にも、それなりの説得力はある。
ただし、世代交代を先送りした以上は、結果を残さなければならない。前回も指摘したとおり、アジアカップは優勝がノルマである。