毎月の収入に比例して、出費も増減しないように注意
収入が不安定なフリーランスだからこそ、貯蓄は大切です!
A社は翌月末振り込みだけど、B社は数か月後というように、ギャランティが振り込まれる時期はまちまち。よって、極端な話ですが「今月の収入は5万円だけど、来月の収入は100万円」などと、収入に大きな山谷があるのではないでしょうか。
毎月、振り込まれた金額に比例して、「今月はひもじく」「来月は豪勢に」などと、お金の使い方まで山谷がある人は注意! 収入が多い月はお金を使ってしまい貯められず、収入が少ない月はストレスをためこんで、後日爆発。その結果、お金を貯められない人になってしまいます。
そこで、前回の記事『フリーランスにとって「貯蓄」が必要な理由5つ』に続いて、フリーランスにおすすめの貯蓄術を、3つのステップで紹介します。
ステップ1■1カ月当たりの収入のベースラインを低めに見積もる
1カ月の収入が、数万円~数十万円などと開きがあるのがフリーランスです。その平均値を考えたことがない人も多いかもしれませんが、まずは1カ月の収入のベースラインを計算してみましょう。今後の収入がどうなるかわからないため、大事をとって“やや低め”に見積もるのがコツ。昨年の年収を12カ月で割った金額より、少し低めの金額で設定してもいいでしょう。例えば、計算しやすい数字を例に出しますと、年収480万円のフリーランスなら、1カ月あたり40万円になります。ちょっと低めに見積もって、35万円が1カ月のベースラインとして考えてみましょう。
ステップ2■その金額をもとに月々の貯蓄額を決める
1カ月の収入の35万円のうち、貯められる金額を考えましょう。一人暮らしなら、1~2割、実家暮らしや、収入のあるパートナーと同居している方なら、2~5割が貯蓄目安。収入の多い少ない、家賃の高い低いなどによって、適宜調整してください。ただし、有休やボーナスなどがある会社員よりも、少し多めの貯蓄を意識しましょう。ベースラインが35万円の場合、一人暮らしなら3万5000円~7万円が貯蓄目安。実家暮らしや収入のあるパートナーと同居している方なら、7万円~12万5000円程度が貯蓄目安になります。
その金額を、毎月確実に貯蓄しましょう。「今月は、収入が少ないから無理」などといわず、毎月必ず貯めるのです。
銀行の自動積立定期預金などを利用すると、手間をかけずに貯めることができます。
フリーランスは、多少収入が減ってもやっていける“自活力”があるのではないでしょうか。ですので、先にお金を貯めてしまうことで、「今月は収入がちょっと少なめだな」という状態を自ら作って、強制的に貯めてしまいましょう。
ステップ3■残ったお金でやりくりしつつ、貯蓄は目的別に3つに分ける
貯蓄を確保し、残ったお金の使い道について、優先順位を考えながら使っていきます。「今月は100万円の収入」などと、収入の“山”があった月は、大きな気持ちになって、貯蓄した残りを全部使い切らずに、一部を貯蓄用口座などに移しておきましょう。フリーランスにはボーナスがありませんので、大きな収入があるときは大変貴重。「今月は5万円」という収入の“谷”のときに、きっと役立つはずです。そして、お金が少しずつ貯まってきたら、目的別に以下の3つに分けておきましょう。
目的A★近々使いたいお金(取材経費、パソコン買い替え、旅行、バッグや洋服購入など)
※いわば、会社員のボーナスがわりです。パソコンや文具支給もないので、その積み立てもかねて。
目的B★3~5年くらい先に使うお金(結婚や引っ越しなどのライフイベントのほか、資格取得費用など。また、女性の方は、出産・育児の際に収入が減ったときの生活費など)
※ボーナスがわりのほか、会社員にある福利厚生費や産休・育休の際の手当がわり。
目的C★少し遠い将来のお金(住宅購入費、老後の費用など)
※フリーは退職金がなく、会社員に比べてもらえる年金が少ないので、自分で積み立てておくイメージ。(投資の知識があれば、投資信託などの積み立てもOK。退職金としては、小規模企業共済などを利用するのも手)
目的別にA、B、Cと貯蓄口座を分けておくとベストです。うっかりAの貯蓄を使い果たしても、ライフイベントや老後の費用(BとCのお金)は残るので、安心です。
ただし、お金を使うべきところは、しっかり使う
フリーランスの貯蓄術を3つのステップでお伝えしましたが、フリーランスは多少お金を使うことも大切です。洋服代や交際費、勉強代などを切り詰めすぎると、第一印象がイマイチになったり、最新知識が不足したりして、今後の収入に影響するかもしれません。また、食費を押さえすぎて体調を崩してしまったら、良質なアウトプットを出せなくなり、(有休がないのに)仕事を休まざるをえなくなります。仕事関係の方との信頼関係が壊れてしまいます。また初期投資として、機材など一通りの購入が必要なケースもあります。上記の貯蓄目安にとらわれすぎず、長い目で考えて、将来に向けて収入が伸びていき、さらにきちんと貯蓄ができるようなサイクルを目指していきましょう。
ぜひ、無駄遣いに対しては気を引き締めながら、使うべきところにはしっかり使えるように意識してみてくださいね。