今回紹介するタムラサトルさんの作品は、このキネティック・アートの流れを組みながら、「現代」を表現しています。
作品が大きいから搬入も大変です
作品の設置をするタムラサトルさん
「僕の作品はいくつかシリーズがありますが、このマシーンのシリーズはサイズが大きく、回転するチェーンなどパーツの種類も多いので、数人で組み立てていくのです」。
それぞれのパーツはアトリエでつくっています。同じ場所ではなくいろいろな場所でこの作品を見せることが多いので、バラバラだったパーツは、ぱぱぱっとひとつの作品になっていきました。
なぜ作品をつくるのか
タムラさんは大学で美術を学ぶなかで、「電気をつかった芸術装置」という課題で右にある《スピンクロコダイル》を制作しました。「課題のプランを出す朝、起きてまず頭に浮かんで来たイメージを作品にしよう、と決めました。そして当日、『ワニがぐるぐる回転する』というイメージが浮かんだのです。想像した通りにつくったら、自分ですごい作品ができた、という確信を得たのです」。
それまで電気を扱うことも、電気をつかった装置をつくったこともなかったタムラさん。課題なので、仕方なくいやいやつくったのが、緑色のワニでした。完成した作品を見たタムラさんは「アーティストになろう」と決めたほど自信を感じたそうです。結果、回転の向きが異なる黄色などの色違いのワニの作品を6種類ほどつくり続けました。