ハーレーダビッドソンの種類・モデル!理想のハーレーと出会うには
キッカケは人それぞれですが、「ハーレーが欲しい!」という強い欲求に駆られ、ディーラーに駆け込んでファーストインパクトで購入を決めたというオーナーは少なくありません。そしてそのなかには、実際に乗りはじめてから「あれ、ちょっとこのバイクは自分に向いていないかも」と乗り換えられる方も。そうした経験も、その後現れるであろう未来の愛車との出会いの糧ではありますが、費用負担も小さくない買い物ですから、なるべく回り道はしたくないところ。ハーレー選びのキモは、自分が理想とする明確なスタイルから逆算してのベース車両選びなのです。先に車両から選ぶと、ゴールとなる理想のスタイルと噛み合ずにチグハグなバイクになってしまうことが多々あります。ハーレーに乗る目的は“車両を買う”ことではなく、“最終的にどんな世界にたどり着きたいか”。そのために購入を検討される方が明確な理想のスタイルを描くことが重要になってくるのですが、その前に基礎知識であるハーレーの種類を知っておかねばなりません。
111年という途方もない歴史を持つハーレーダビッドソン。当然その歴史のなかでさまざまなモデルが輩出されてきたわけで、新旧織り交ぜるとものすごい種類になってしまいます。現在、私たちが手に入れられる(購入できる)範囲でのハーレーの種類をざっくり大きく分けると、以下のようになります。
[ビンテージハーレー]
エンジン別とすると、古い順番で、ナックルヘッド(1936~1947年)、パンヘッド(1948~1965年)、ショベルヘッド(1966~1984年)がこのカテゴリーに該当します(ナックル以前のモデルは購入が極めて困難なので未記載)。特にハーレーらしいトルクと鼓動はショベルヘッドエンジンがもっとも近いものと言えます。
(メリット)
・古き良き時代のハーレーダビッドソンそのままのスタイル
・現代モデルにはないハーレーらしい鼓動とトルクをそのままに味わえる
(デメリット)
・ビンテージモデルなので非常に高価で、購入できるお店も限定される
・故障頻度は現行モデルより多く、またプロでしか故障診断は不可能
[キャブレターモデル]
上記のビンテージハーレーもキャブレター仕様ですが、ここではショベル以降、1985年に登場したエヴォリューションエンジンから2006年まで残ったキャブレター仕様のツインカムおよびエヴォスポーツを指すこととします。
(メリット)
・“壊れやすい”というイメージから脱却した安定感のあるエンジン群
・新車やビンテージモデルよりも手頃な値段の中古車多し
・失われていない鼓動とトルク感
(デメリット)
・程度の良い車両を見つけるのが困難(特にフルノーマルは難しい)
[インジェクションモデル]
2002年からハーレーダビッドソンが導入したコンピューター制御されたフューエルインジェクション(以下 F.I.)モデルを指します。現代モデルはすべてこのF.I.仕様です。
(メリット)
・最新技術が投入された安定感バツグンの車両群
・流行を先取りしたファクトリーカスタムモデルなど種類も豊富
(デメリット)
・さまざまな機器を導入しているため、全体的にボディが大きい
・日本の排ガス規制対応とするコンピューターセッティングのため、トルク感や鼓動が損なわれている ※インジェクションチューニング(有料)でハーレー本来のトルクと鼓動を取り戻すことは可能
それぞれにメリットとデメリットが存在し、それらを踏まえたうえで自分が付き合いたいモデルを探すのがベストです。またキャブレターモデル以降は、「ツーリング」「ソフテイル」「ダイナ」「スポーツスター」「Vロッド」「CVO」「トライク」というファミリーごとにタイプが区分されるようになったので、このあたりの特徴も把握しておくと、自分の好みが明確になることでしょう。
■キャブレターモデル以降のタイプ別解説記事
- ハーレー2016年最新モデル解説 ツーリング編
- ハーレー2016年最新モデル解説 スポーツスター編
- ハーレー2016年最新モデル解説 ソフテイル編
- ハーレー2016年最新モデル解説 ダイナ編
- ハーレー2016年最新モデル解説 ストリート&Vロッド編
カスタムという選択肢を含んだ車両選び
どんなライフスタイルをも許容してくれるハーレーダビッドソン。だからこそハーレーの世界は奥深いのですが、一方で明確なテーマ性をもって接することを求めてもきます。大体の種類を知ったところで、続いてスタイルの構築へと進んでいきましょう。
「スタイルの構築って?」という声が聞こえてきそうですが、端的に言えば“自分に合ったハーレーダビッドソンを手に入れること”です。さらに突っ込んで言うと、カスタムという選択肢込みで求める理想の一台を思い描くことということ。
カスタムのスタイルは千差万別。他メーカーのオートバイと違ってあらゆるジャンルのカスタムスタイルを許容するハーレーダビッドソンなので、チョッパーにボバー、バガー、レーサー、ドラッガー、スクランブラー、カフェレーサー、トラッカーなど枚挙に暇がありません。これらをひとつずつ説明すると大変なことになるので、「ビジュアル重視」か「乗りやすさ重視」と大きく二分したいずれかから、自分の好みを作り上げていきましょう。
[ビジュアル重視型]
チョッパーやボバー、レーサーといった“無駄を削ぎ落したスタイリッシュなカスタム”を指します。不要なものを取り除いたスタイルは誰が見ても「カッコいい」と唸らされるフォルムを有しますが、ライダーの乗り心地を考慮したものではないカスタムなので、コントロールはもちろん長時間ランも容易ではありません。
[乗りやすさ重視型]
長距離を走ってもお尻が痛くならないシートに足が疲れないフットボード、走行風からライダーを守ってくれるウインドスクリーン、容量の大きなフューエルタンク、荷物をいっぱい詰めるサドルバッグなど、快適な旅を約束してくれる乗りやすさ重視型の代表例がこれ。究極のツアラーモデルはウルトラですが、最初からあのスタイルで登場したモデルはともかく、後付けでウインドシールドやサドルバッグ、シートを換えると本来のスタイリングを損ねてしまい、カッコいいとは言い難いフォルムになるのも事実。
どちらを選んでも正解として許容してくれる懐の深さがハーレーダビッドソンの魅力なので、「乗りづらくてもカッコよく見せたい」のか、「やっぱり旅を楽しみたいから快適性が欲しい」のか、を選んでおいた方が良いでしょう。
大事な予算をしっかりと設定しよう
続いて予算ですが、ご存知のとおり(?)ハーレーダビッドソンは大変高価です。新車で言えば、一台500万円もする超高級仕様があったりします。またビンテージモデルだとそのレアさによっては3桁万円を飛び越えてしまうものも。このあたりはちょっと極端な例ですが、新車ならもっとも安いスポーツスターでも乗り出しで100万円以上はします。闇雲に手を出すのではなく、「どういう支払い方法があるのか」「維持費はどのぐらいかかるのか」「保管方法の検討」なども考えておいた方がベストです。
今や分割ローンでハーレーダビッドソンを手に入れられるようになった現代ですが、「実際にお店に足を運ばれる方のほとんどが、“まずお気に入りの車両を見たい”という想いが先行されており、実際にどうやって購入プランを組むかはその後の相談となっています」と、横浜に居を構えるハーレーダビッドソン正規ディーラーの丸富オート販売 ハーレーダビッドソンショールーム 店長の江原 学さんが教えてくれました。
「車両価格が相当に大きいので、“早く返済し終えたい”と月々のお支払い金額を大きな設定にされるケースがあるのですが、日常生活において急な入り用があるとき、毎月大きな金額が抜き取られていくのは負担になってきます。なので、まずは月々のお支払い額は10,000~15,000円にしておき、一年に一度、大きな収入があったときに一定金額をまとめて返済して、その後の返済負担を減らすという方法をご紹介しています。こうした返済方法をご存知ない方はかなり多いので、知っておいていただけると嬉しいですね」
実際のところ、ハーレーは購入後の維持費が思っている以上にかかってきますので、それらを考えると月々の負担は小さいに越したことはありません。こうした返済方法のバリエーションを知っておけば、目指すべきスタイルの選択肢も増えようというものです。
また、どれほど綿密な計画を練ったとしても“一生の愛車”にいきなり出会える確立は高くありません。それが三台めなのか四台めなのか、はたまたもっと先なのかは分かりませんが、いろんなことを学びながらバイクと過ごし、好みの変化を楽しみつつ乗り換えていくフットワークの軽さがあれば、“一生の一台”に出会える日は近くなるのではないでしょうか。そういう意味でも、日々の生活への負担が少ない設定で「いつでも乗り換えられる」ぐらいの気持ちでハーレーライフを楽しまれるのは大いにアリだと思います。
信頼できるドクターとの付き合いを大事に
皆さんは風邪をひいたとき、まずどうしますか? そう、病院に行きますよね。それも、行きやすい馴染みの病院へ。オートバイも同じで、調子が悪くなったらその故障箇所をしっかりと分析し、修理してくれる信頼のおけるバイク屋さんに持ち込まねばなりません。ハーレーも新車や旧車でまったく特性が異なるので、自分の車両の故障診断を得意とするお店を見つけることが、快適なバイクライフを送るうえで重要なポイントとなります。
そうしたバイク屋さんとは、バイク購入時からのお付き合いとなります。最近ではネットオークションによるオートバイの個人売買も盛んだと聞きますが、オートバイに関する知識や技術に自信がある方はともかく、ただ安いからという理由で一般の方が購入してしまうと、後々のトラブルで大損をしてしまう怖さをはらんでいるのがこの個人売買です。当然バイク屋さんでオートバイを買うということは、その販売価格に企業としての利益が乗せられているわけですが、一方で企業としてきちんとメンテナンスチェックをしているので、その安心感に対して対価を支払うと考えましょう。
自分の理想を実現してくれるお店を探せ!
ことハーレーダビッドソンの購入という点で言えば、ショップをカテゴライズすると「正規ディーラー」「カスタムショップ」「中古車販売店」に分けられるかと思います。[正規ディーラー]
ハーレーダビッドソン ジャパン(以下 HDJ)の認可を受けた正規店で、ハーレーの最新モデルを購入できるのはここだけ。安定した企業でないと正規店としての認可が下りないという点からも、個人店とは比べものにならない安心感があります。
(メリット)
・ハーレーの最新モデルはもちろん、最新情報がいち早く入ってくる
・ハーレーに関する最先端のトレーニングを積んだスタッフが常駐
・日本全国に100店舗以上も展開しており、全店共通のサービスが保証されている
(デメリット)
・ノーマルマフラー以外への交換はNG
・ビンテージハーレーの取り扱いが不得手なところが少なくない
[カスタムショップ]
HDJ傘下の正規店ではない、ハーレーダビッドソンのカスタマイズを専門とする各地域ごとに点在する個別ショップ。お店によって特性は大きく異なりますが、それぞれが得意分野に特化していることから、正規店にはないスペシャリティを有しているところが最大の魅力です。
(メリット)
・正規店の制限を超えたカスタムオーダーを受け付けてくれる
・カスタムマフラーへの交換も可能
・お店ごとのキャラクターが強く、得意分野がはっきりとしている
(デメリット)
・最新モデルの取り扱いはできない
・正規店のような全国展開はしていないので、好みのお店が遠くにしかないということも
[中古車販売店]
ハーレーダビッドソンのみならず他メーカーの中古車も取り扱っているショップ。全国展開している規模もあれば、各地域ごとに根ざした販売を手がけるお店もあります。
(メリット)
・比較的安価な中古車を取り扱っている
・全国展開規模なら、他地域の同ブランドショップから希望車種を取り寄せることも可能
・マフラーやエアクリーナー、ハンドルバーといったボルトオンカスタムなら対応してくれる
(デメリット)
・専門性はない(特にハーレーの場合はその差が顕著に出る)
・購入後のアフターケアやフォローは正規店やカスタムショップほどではない
これまたざっくりとしたカテゴライズではありますが、目安としてはこういう切り口になります。例えば「ショベルヘッドモデルのチョッパースタイルを目指したい!」のであれば、カスタムショップのなかからその分野を得意とするお店を探し出し、ベース車両選びからカスタムまでパッケージで相談してみるといいでしょう。「ハーレーぐらい自分でいくらでもイジれる! だから程度の善し悪し関係なく安い車両が欲しい!」のであれば、最寄りの中古車販売店に探しに行けばいいのです。「やっぱり最新モデルが安心! 全国で変わらないサービスを受けたい」のであれば、その方には正規ディーラーが向いていると言えるでしょう。
重要なお店チェック項目!
では、良質なバイク屋さんと出会うために知っておかねばならない点とは? その項目をざざっとまとめてみました。1, お店の雰囲気
自身のフィーリングで良いので、お店に入る前の印象や店内の雰囲気、空気感のようなものをじっくり観察してみましょう。あなたにとって「居心地がいい」「長居しても苦にならない、むしろ楽しい」と思えたなら、それは大きな収穫となります。
2, 接客態度
人と人との距離感はさまざま。話しかけられたくない人もいれば、興味津々でいろいろ質問しちゃう人だっています。そうしたそれぞれのキャラクターに対してどんな接し方をしているか、はチェックしておきましょう。
3, ファクトリー(整備スペース)の様子
バイク屋さんによってスタイルはさまざまですが、オートバイを“人の命を預かっている乗り物”として見ているかどうかがファクトリーの模様に表れます。「工具はきちんと整理されているか」、「床に備品が散らばっていないか」、「作業着は最低限の清潔感を保っているか」など。ファクトリー内で喫煙? もってのほかです。
万が一愛車にトラブルが発生したときのことを考えると、自宅から近いバイク屋さんであることが一番良いのですが、この項目に照らし合わせてみて「一番近いA店より、ちょいと足を伸ばしたところにあるB店の方が感じがいい」と思ったなら、気持ちよくお付き合いできる方を選ばれるといいでしょう。
サービスが一貫している正規ディーラーはともかく、キャラクターが強いカスタムショップについては、オーナーがイメージする理想のスタイルにばっちり当てはまるお店があれば、迷わず怖がらずに門を叩いてみることをオススメします。偏屈な人が多そうなイメージがありますが、話をしてみたら結構気さくだったということは珍しくありませんし、お互いの好みが合ってさえいれば一生もののお付き合いになることも。
正規ディーラーにカスタムショップ、中古車販売店と種類別で紹介しましたが、重要なのはオーナー自身が“これからも気持ちよくお付き合いしていけるお店かどうか”を見極め、良質なお店とのお付き合いからバイクライフをスタートさせることです。そうすれば、自ずと好みのスタイルだって明確になってきますし、“一生ものの愛車”に出会える精度だって高まってきます。
近年はインターネットでの中古車検索が主流となり、ネットオークションでの個人売買も含め、直接相手と顔を合わさずともオートバイの売り買いができるような時代になってきましたが、質の良いオートバイを見極める目は間違いなくプロの方が上ですし、プロ——あなたのバイクライフをより良いものにしてくれるショップとの出会いが、結果的に良い一台との出会いにつながるのです。
「ハーレーに乗りたい!」というときは、必ず“これ”という一台を目にしたときです。しかしプロの目を通すと、思いもよらぬところから意外な一台を探し出してきてくれ、それが求めていた以上の価値をもたらしてくれることだってあります。そんな期待を抱きながら、自分のライフスタイルに合ったショップを探してみてくださいね。
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