土地探しから住宅取得を検討するならコミュニティに注目
多くの方々が、東日本大震災クラスの災害では自治体が機能しなくなることを理解したと思いますが、仮にそうなっても大丈夫なように常日頃から災害備蓄を蓄えておくような取り組みを、少ずつ忘れているのではないかと思います。かくいう私もその一人。最近は備蓄していた食糧の消費期限が切れそうになっていたり、予備の電池の数もずいぶんと減っていました。災害の危険性が身近なうちは注意を払うのですが、普通の暮らしが続き危険が薄れると、どうしてもこうなってしまいます。今回の防災訓練を取材して反省しきりでした。
さて、前のページでご紹介したような宮城県・色麻町のような高度な防災への取り組みは、実は全国的にみるとまだまだ少ないと思われます。そうなると、私たち一人ひとりの「自助」の取り組みと、それが積み重なることによるコミュニティーの「共助」の力がより重要になってきます。
で、ここからがこの記事で最も皆さんに申し上げたいことですが、これから住宅取得を目指す皆さんに、一つ重要な指標にコミュニティのあり方ということを付け加えていただきたいということです。要するに「どこに住むか」かと考える際に、そこがどんなコミュニティなのかに注目してみると、従来と違った視点での住宅取得の可能性が出てくるということです。
例えば、あなたが土地購入も含めて住宅取得を検討しているとしましょう。その際、何を重視されますか?一般的には、職場からの距離といった立地や駅から近いなどの利便性、さらには価格が重視されることでしょう。確かにそれも重要なことです。そして、そこに地域コミュニティがしっかりしているかという視点も加えることで、さらに満足度の高い安心安全な住宅取得が可能になるはずです。
災害への備え、「自助」として住宅取得時に考えておくべきこと
土地購入の検討を行う際に、例えばその地域がお祭りなどの地域の活動を盛んに行っているかをチェックしましょう。このことは、地域に住む人からお話を少し聞けば、ある程度分かることです。それらの活動に若い世代の人たちが積極的に関わっているようでしたらなお良いでしょう。というのも、もし大きな災害が発生した際も、コミュニティのつながりが強ければ、被災したときの復旧や復興がスピーディに行われる可能性が高いからです。そしてそれは、皆さんの生活再建に非常に大きな効果をもたらしてくれるはずです。
それだけでも大きな価値ですが、コミュニティの結束の強さという価値は災害への備えだけにとどまるものではありません。通常時には、防犯面でもコミュニティの結束の強さは大きな効果を発揮します。お互いに見守り合うことで、犯罪の発生を抑えられるからです。
このように、コミュニティというのは住まいや暮らしの安心・安全に密接に関わるものですから、皆さんには住宅取得にあたって是非重要視していただきたいと思うのです。よく不動産広告などに「住環境」という言葉が出てきますが、これについては公園や商業施設、学校などに近いということが多いため、それらに、コミュニティのあり方も含めて検討すべきです。
もっとも、コミュニティのことを重視するだけでは災害への備えは十分でありませんから、仮に土地探しから住宅取得を検討するなら、その土地にどのような危険が潜んでいるのかをもしっかりとチェックすべきでしょう。傾斜地や川沿い、地盤が緩い場所、さらには都市部なら周辺に燃えやすい住宅が多いか、などがそのチェックポイントになります。
あとは信頼できるハウスメーカーなど依頼先を選ぶこと。これくらいのことに注目して土地選びをすれば、比較的安心安全な住宅取得に近づけるのではないか、と私は思っていますし、それが皆さんが個人としてできる災害などへの備え、「自助」となるのではないでしょうか。