「昭和」は懐かしさの象徴
「なつメロ」という略語のもとになった「なつかしのメロディー」とは、終戦後まもなくNHKのラジオ放送で開始された音楽番組。大正や昭和初期の流行歌が流れ、人気を集めました。つまり2、30年前に流行った歌が、日本人の耳に懐かしく感じた訳で、こうした傾向は後々にまで続いていたように思います。
昨今の「なつメロ」ジャンルの範囲は、個人的印象だと1970年代から80年代といったところでしょうか。1989年は昭和から平成に切り替わった記念すべき年。このボーダーラインは今後もしっかりと主張されていくような気がします。つまり、なつメロ=昭和歌謡という構図がしばらくのあいだ続くということです。
ラジオの新たな可能性
ラジオは今も重要なメディアとして十分に機能する一方、なぜか懐かしさというかレトロっぽいイメージを抱かれがち。だからなのか、いつのまにかラジオが進化していることをご存じでない方も少なくないようです。「コミュニティFM」という言葉をお聞きになったことはないでしょうか? 従来のFMよりも放送対象地域が狭く、地域密着の放送をメインとして、全国で262局が業務を行っています。しかもその多くはインターネットを利用することにより、全世界で聴取することが可能。この点ではAM、FM用のradiko.jpよりも機能的に優れていると思います。
そんなコミュニティFMと昭和歌謡の融合とでも言うべきプログラムが、「FMおだわら」で放送中の「ラジオ歌謡選抜」です。2つの要素の化学反応は、ただ懐かしいだけの昭和歌謡番組とは一線を画した、新しい発見のある興味深いコンテンツを作り上げました。