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2014年11月のオススメ展覧会・美術展(3ページ目)

日本全国の2014年11月のオススメ展覧会・美術展を紹介。京都国立博物館(京都)の修理完成記念 国宝 鳥獣戯画と高山寺、国立新美術館(六本木)のチューリヒ美術館展、町田市立国際版画美術館(町田)の鬼才の画人 谷中安規展 ―1930年代の夢と現実、LIXIL ギャラリー1(銀座)のジオ・ポンティの世界展、中村屋サロン美術館(新宿)の開館記念特別展を紹介します。

浦島 茂世

執筆者:浦島 茂世

美術館ガイド

かわいらしさと、狂気が同居
町田市立国際版画美術館(町田):鬼才の画人 谷中安規展 ―1930年代の夢と現実

《童子騎象図》1937年頃 木版 個人蔵

《童子騎象》1937年頃 木版 個人蔵

関東大震災から復興を遂げた1930年代に活躍した版画家、谷中安規。モダンで華やかな風俗が流行する一方、次第に戦時体制へ移行し、閉塞感を強めていくていく当時の日本の雰囲気を、彼は木版画をつかって時にはグロテスクに、時には可愛らしく描きとりました。

この展覧会は、10年ぶりとなる彼の回顧展。約300点にも及ぶ作品を、年代ごとに整理していき、彼の実像に迫ると同時に、1930年代という時代そのものを考証していきます。

《妄想F》1925年頃 木版 飯田市美術博物館(日夏耿之介記念館)蔵

《妄想F》1925年頃 木版 飯田市美術博物館(日夏耿之介記念館)蔵


谷中作品のおもしろいのは、時代を経るにつれて、さまざまな要素が作品に取り入れられていくところ。

版画制作の開始したころは退廃的でグロテスクな表現を好んで使っていた谷中は、その作品が社会的に認められ、小説の挿絵や本の装幀を手がけるようになるにつれて、モダンな都市のイメージと、昔話や伝説、仏典など、幼少期の記憶に由来するイメージが融合するよな、すこし不思議な作品になっていきます。


《瞑想氏》(『白と黒』41号)1933年 木版 個人蔵

《瞑想氏》(『白と黒』41号)1933年 木版 個人蔵

モダンなイメージのなかに幻想的なモチーフが入り込んだ彼の作品は、戦争が進むにつれてさらに変化し、冒頭の《童子騎象》のような、天使やこども、女性が動物や鳥などと戯れる、お伽噺や桃源郷のような世界を描き出すようになります。

さまざまな要素が交じり合った彼の作品をたっぷりご鑑賞ください。


■展覧会DATA
展覧会名称:鬼才の画人 谷中安規展 ―1930年代の夢と現実
会場:町田市立国際版画美術館
会期:2014年10月4日(土) ~ 11月24日(月・休)
開館時間: 10:00~17:00
※土曜日、日曜日、祝日は17:30まで開館
※入館は閉館の30分前まで
休館日:月曜日
※ただし11月3日(月・祝)、11月24日(月・休・展覧会最終日)は開館、11月4日(火)は休館
Web: http://taninaka.hanga-museum.jp/index.html

次のページではLIXIL ギャラリー1(銀座):建築の皮膚と体温-イタリアモダンデザインの父、ジオ・ポンティの世界- 展を紹介します。

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