大腿骨骨幹部骨折とは
大腿骨は大腿にある骨です。この骨の中央部、関節を構成していない部分を大腿骨骨幹部と呼びます。この部位の骨折を大腿骨骨幹部骨折といいます。大腿骨の関節以外の部分が骨幹部です。
若年者では、転落事故、交通事故などで大きな外力が働き受傷します。高齢者では骨粗鬆症、人工関節置換術などが原因となり、転倒などの軽微な力での骨折が増えています。
大腿骨骨幹部骨折の年齢、性差
運動、事故などに伴い発生する骨折ですので、あらゆる年齢層に発生します。高齢者に比較的多い骨折です。大腿骨骨幹部骨折の症状
骨折した部位の腫脹、疼痛、変形です。通常初期から激痛となることが多いです。患肢が短縮し、歩行は不可能となります。大腿骨骨幹部骨折の診断
■単純X線単純X線写真は放射線被爆量も少なく、費用もわずか。その場で撮影も終了し当日説明を受けられるので、整形外科では必ず施行します。
大腿単純X線像。
上記の写真は大腿単純X線正面の写真。大腿骨骨幹部で骨折が認められます。
■CT
単純X線で診断がつかない場合でもCTであれば診断可能です。
大腿骨骨幹部骨折の治療法
大腿骨骨幹部骨折の治療として保存療法、手術療法の2つの治療法があります。■保存治療
初期治療として骨折した骨をもとの状態に戻す整復を行い、シーネ、ギプスなどの固定を行う保存治療をまず行います。整復の状態がよければ、このまま時間をかけて骨折した部位の骨癒合を計ります。長期間の固定が必要となりますので、運動、仕事の制限があります。
小児の骨折では保存治療が選択されます。
●鎮痛薬
ボルタレン、ロキソニンなど非ステロイド消炎鎮痛薬(NSAIDと省略されます)を用います。
- ボルタレン……1錠15.3円で1日3回食後に服用。副作用は胃部不快感、浮腫、発疹、ショック、消化管潰瘍、再生不良性貧血、皮膚粘膜眼症候群、急性 腎不全、ネフローゼ、重症喘息発作(アスピリン喘息)、間質性肺炎、うっ血性心不全、心筋梗塞、無菌性髄膜炎、肝障害、ライ症候群など重症な脳障害、横紋 筋融解症、脳血管障害胃炎。
- ロキソニン……1錠22.3円で1日3回食後に服用。副作用はボルタレンと同様です。
どちらの薬でも胃潰瘍を合併することがありますので、胃薬、抗潰瘍薬などと一緒に処方されます。
■手術治療
骨片が多数あるもの、骨欠損があるもの、整復した骨片の位置が正常な位置関係にない場合、保存治療で癒合しない場合などが手術の対象となります。成人の骨折では手術治療が第1選択となります。
●髄内釘
通常は髄内釘といって、大腿骨の骨髄の中に固定用の金属を留置します。
髄内釘。
●プレート
髄内釘が使用できない場合、プレート、創外固定器などが使用されます。
プレートと呼ばれる板状の金属を固定に使用します。
この方は、以前に股関節に人工関節があり、その人工物のすぐ下で骨折したため、人工関節のすぐ下に固定を置くことになり、プレートが使用されました。
●抜釘術
術後に骨折が治癒した後に固定具を除去します。抜釘術(ばっていじゅつ)と呼ばれます。