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本田圭佑の覚醒を地元紙ベテラン記者が解説!(2ページ目)

本田圭佑が絶好調だ。ここまでリーグ戦全7試合に先発出場し、得点ランキング首位タイの6ゴールをマークしているのだ。覚醒の理由を探る。

戸塚 啓

執筆者:戸塚 啓

日本代表・Jリーグガイド

最大5試合の欠場も……アジアカップ出場に大きな代償

ACミランにおける価値が高まるのは、本田だけでなく日本代表にとっても意義深い。ハビエル・アギーレ監督(55歳)のもとで川島永嗣(31歳、スタンダール・リエージュ/ベルギー)、吉田麻也(26歳、サウサンプトン/イングランド)とともにキャプテンに指名される彼は、ブラジルW杯後のチームでも中核を担う。所属クラブの好調さを日本代表に持ち込んでくれれば、チームに良い影響がもたらされる。

気になるのは来年1月のアジアカップだ。

アジアナンバー1を決める同大会は1月9日に開幕するが、セリエAはこの間も開催される。日本が決勝戦まで進出すれば、本田は5試合の欠場を余儀なくされる。すでにACミラン側は、本田のアジアカップ出場に難色を示しているとも聞く。

アジアカップの優勝国は、コンフェデレーションズカップ(以下コンフェデ杯)の出場権を得る。W杯開催国のロシアで、W杯の前年に行われるコンフェデ杯には、欧州や南米の大陸王者が集結する。ブラジルW杯で優勝したドイツは、すでに出場権を得ている。世界の強豪と真剣勝負ができるコンフェデ杯は、代表チームの強化に欠かせない。

しかし、ACミランにおける本田の立場を考えると、5試合連続欠場は痛い。

彼抜きのチームが好調を持続すれば、復帰後も同じスタメンで戦っていく可能性は捨てきれない。冬の移籍マーケットで本田の代役として選手を補強し、その選手がいきなり活躍するようなことも、まったく有り得ないストーリーではない。

長友佑都(28歳、インテル・ミラノ)に、も同じことが言える。在籍5シーズン目を数える彼は、ゲームキャプテンを任されるほどの信頼を勝ち取っている。とはいえ、チームを離れている間に監督が交代したり、新戦力が加わったりすれば、チーム内の序列に変化が生じるかもしれない。ミランやインテルのような常勝を義務づけられたクラブは、絶えることのない競争によってレベルを保っているのだ。

川島がプレーするベルギーリーグは、アジアカップ期間中に3試合が行われる。吉田がアジアカップに出場する場合も、イングランド・プレミアリーグを3試合欠場しなければならない。

日本人選手が数多くプレーするドイツ・ブンデスリーガは、12月中旬から1月末までリーグ戦が中断する。アジアカップに参加しても、リーグ戦欠場は1試合だけですむ。柿谷曜一朗(24歳)が所属するスイスリーグのバーゼルは、1月はウインターブレイクで試合がない。ドイツでプレーする選手と柿谷は、アジアカップ出場によるクラブへの影響は最小限に止めることができるだろう。

限定的な出場も視野に入れるべきでは

2017年のコンフェデ杯出場のためにも、アジアカップは勝ち取りたい。しかし、その代償としてクラブでの立場を脅かされる選手が生まれたら、結果的に代表チームの利益は損なわれる。

現時点ではっきりさせるべきなのは、アジアカップの目標だ。優勝を絶対条件とするなら、本田や長友は欠かせない。だが、ベスト4をノルマとするのであれば、本田らがいなくても達成は可能だろう。

コンフェデ杯の出場権獲得を望む声は大きいが、同大会とW杯の成績は必ずしもリンクしない。本田、長友、吉田、川島のアジアカップ出場は準々決勝までといった対応をしてもいいと、個人的には考える。最初から海外組をひとりも招集せず、Jリーガーだけでチームを編成してもいい。

話を本田に戻そう。

ACミランがこの時点で離脱に難色を示すのは、本田が必要不可欠な戦力だからに他ならない。ただし、彼はまだACミランに何ももたらしていない。

「長いシーズンでは調子を落とす時期もあるだろうが、その時期をどれだけ短くできるかが大切だろう」と、コスタ氏は話す。継続して結果を残すことで選手としての価値は高まり、揺るぎない信頼を勝ち取ることができるのだ。

本田圭佑の勝負は、まだ序盤戦である。
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